second dice

N&N

文字の大きさ
上 下
15 / 73
2.メリーバースデー

12

しおりを挟む
「おい、一真。何騒いでんだよ。セールスか?」

異変に気づいた兄キがオレの元へとやってきた。

ちょっとは気にかけてくれていたようだ。

お目当ての番組も終わったことだしな。

これがあの番組の最中だったら、絶対こんなふうに来ることはないだろう。

「兄キ、実は厄介な客が・・・」

外にいる茉に聞かれるとまた吠えられるから、小声でつぶやく。

「厄介な客ー?お前、客に向かってそれは失礼だろ」

と言いながら兄キはドアを開けた。

「あ、ユノモト兄」

茉はドアを開けた主がオレから兄キに変わったことにいち早く気づいた。

兄キは客の正体が茉だとわかると、そっとドアを閉めた。

「こらー!!何なの、あんた達ー!!」

当然、茉は怒っていた。

しかしオレは再び開ける気にはなれなかった。

兄キも当然、同じように思っているはずだ。

「一真、中ボスが現れた」

「中ボス?」

兄キは外にいる茉をそう表現した。

中ボスって何だ?

「中ボスって?」

オレが質問すると、兄キは目を見開いた。

「何言ってんだよ。えぬえぬクエストの中ボスに決まってるだろ!?」

兄キのことだからそんな気はしたが、オレはそれほどえぬえぬクエストのファンではないからそれを引き合いに出されても困る。

「オレ、えぬえぬクエストやってないから中ボスなんてわからないよ」

「何だとー!?お前、やったことないのか?あのえぬえぬクエストをか!?お前、日本人か!?」

「いや、ちょっとやったことあるけど。最初の方だけ」

「はぁ!?それでよく今までえぬえぬクエストについて語ってたな」

今まで語ったことなんて1度もないけど。

「お前、エヌマーが好きだって言ってたじゃないか」

「それはあのキャラクターの中ではエヌマーが1番マシって意味で言ったんだよ」

「最初の方しかやってないのに!?中ボスも知らないのに!?」

「別にいいだろ、それは。で、中ボスって一体何だよ」

「えぬえぬタワーに出てくるボスのことです」

オレ達のやり取りを聞いていたのか、クスミも玄関まで来て話に加わった。

「そこがラストダンジョンのように見せかけて、実はまだ続くんですよ」

クスミは流暢に説明してくれる。

「・・・ゲームするんだっけ?」

「私ですか?しますよ。えぬえぬクエストのおかげでNキャラと出会いましたから」

あぁ、そうか。

そうだったな。

Nキャラはえぬえぬクエストというゲームのキャラクターだから、これをやっていないとNキャラはわからないんだった。

「叩いた時に、でよって言うの、かわいいですよね」

「おう!逃げてる時のさらばでよ、もいいよな!」

「ですよねー!」

「・・・・・・・・・」

しまった。

Nキャラの名前が出たからか、2人で盛り上がり始めた。

しかもこの2人の会話、前にも聞いたことがある。

Nキャラを褒めるのに毎回似た話しか出てこないのか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

twice dice

N&N
青春
これで良かったのかなんて疑問は 他人が抱くものじゃないな

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

8年間未来人石原くん。

七部(ななべ)
青春
しがない中学2年生の石原 謙太郎(いしはら けんたろう)に、一通の手紙が机の上に届く。 「苗村と付き合ってくれ!頼む、今しかないんだ!」 と。8年後の未来の、22歳の自分が、今の、14歳の自分宛に。苗村 鈴(なえむら すず) これは、石原の8年間の恋愛のキャンバスのごく一部分の物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

土俵の華〜女子相撲譚〜

葉月空
青春
土俵の華は女子相撲を題材にした青春群像劇です。 相撲が好きな美月が女子大相撲の横綱になるまでの物語 でも美月は体が弱く母親には相撲を辞める様に言われるが美月は母の反対を押し切ってまで相撲を続けてる。何故、彼女は母親の意見を押し切ってまで相撲も続けるのか そして、美月は横綱になれるのか? ご意見や感想もお待ちしております。

処理中です...