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2.メリーバースデー

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しかしここで気を許すとまずい。

永遠にここから抜けさせなくなってしまう。

そう思ったオレはさっとUFOキャッチャーの前を離れた。

「そっ、そろそろ帰るぞ」

意外にも興奮は冷めておらず、少しどもってしまった。

ちっ、冷静な態度で交わしたいのに恥ずかしいじゃないか。

「えーっ!!」

茉はオレがどもっていたことに対してより、言葉に反応したようだ。

もう帰る発言をしたオレに対して明らかに嫌そうな表情を見せた。

「えー!!じゃない!これが最後って約束だっただろ」

「そう言ってたけどー」

と言いつつ茉はまだ不満そうだ。

何だよ、取れたんだから文句はないじゃないか。

取れてなかったらさぞかし悔しい気持ちでいっぱいなんだろうけど。

「いいじゃん。ここは勢いに乗ってどんどん取ろうよ。限界に挑戦しよう!」

何でそんな発想が出てくるんだ。

1度茉の頭の中はどうなっているのか見てみたい。

「あのなー、オレの小銭がもう限界なんだよ」

そうだ。

オレはあまり細かいお金を持ち歩かないからさっきので小銭はもうない。

最後に1回と言ったのは、実はこれが原因だったりする。

「じゃあさ、私お金崩してくるから待ってて!」

茉はオレの言葉で諦めるどころか、逆に張り切っている。

本当に両替をしそうな勢いだったので、オレは茉の腕をつかんで止めた。

「茉はマジで無駄遣いになるからやめろ。才能ねえんだよ、きっと」

何を言っても止まりそうにない茉に今度は挑発的な発言をしてみた。

もちろん茉はそれを受けて不機嫌な表情に変わっている。

「何さっ、自分は才能あるみたいな言い方しちゃって!」

実際オレはそんなことを微塵にも思っていないのだが、まぐれが続いてそんなことはないと断定もできなくなってしまっている。

しかしここでオレが言い返すと無限ループになりそうなのでやめた。

「もういいだろ?今手持ちでエヌマーが6匹。いや、6個!家に1個あるんだろ?7個だ」

「・・・・・・・・・」

「それだけあれば十分じゃねーか」

「・・・そうだけど」

おいおい、欲しい物が7個も手に入ったんだぞ?

ドラゴンボールであれば目的が達成できている個数だ。

何で普通に喜べないんだ。

「・・・じゃあまた欲しいエヌマーを見つけたら取ってくれる?」

「・・・・・・・・・」

この期に及んでまたエヌマーかよっ!

「・・・わかったよ」

正直ゴメンこうむりたがったが仕方ない。

ここはこう言っておかないと、またブーブー言われるだけだしな。

っていうか、一体何なんだよ。

えぬえぬクエストのキャラにハマる人の心理ってのは。

オレにはちっとも理解できん。

でもまあ今日は感謝されて良い気持ちになったし、それで良しとするか。
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