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2.メリーバースデー

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ってなわけで翌日。

オレは待ち合わせ場所に指定したエヌエヌセンターという名の駅前の店で、今時の格好をしている女性を見つけた。

「あ、来た来た。おーっす」

こっちを向いて手を振っていることから、その女性は茉だと気がついた。

オレは視力が悪いわけではないのだが、正直彼女の真ん前に行くまでそれが茉だと気づかなかった。

それほど普段の茉とはかけ離れていた。

茉・・・さすがクスミとは違う。

クスミは外にいてもクスミだった・・・。

「どうしたの?」

茉の普段とのギャップに呆然としていると、すかさず茉が尋ねてきた。

「いや、別に」

変に思われないように、とりあえずオレは手に持っていた袋を茉に手渡した。

中身はもちろんエヌマーだ。

豪華に4匹入り!

「これ」

「え?何これ」

袋を受け取った茉は、自分がプレゼントをねだっていたことも忘れてキョトンとしている。

「クリスマスプレゼントだよ」

「マジで!?期待させてくれるじゃん」

「あー、期待はしない方がいいぞ。ガッカリするから」

「え?そんなこと言われると超気になる」

そう言って茉は早速袋を開け始めた。

外で開けてしまうのか!?

オレの物ではなくなった今、どうされようが構わないが、気に入らなければオレに戻ってくるという最悪な事態が発生する。

女はそういうところ容赦ないし。

それは全力で阻止せねば。

「キャー、エヌマーじゃん。どうしたのこれ。もしかして取ったの?」

「え?あー・・・まぁそんなところ」

意外にも反応が良すぎたせいで、返答に困ってしまう。

っていうか、本当は全てクスミが取ったものだけど、貰ったものをあげたと言うと気を悪くされそうだから、黙っておこう。

許せ、クスミ。

「実は私、ユノモトにNキャラのことを話した時から妙にエヌマーにハマっちゃってさー」

「へー」

「集めてるんだー」

「ふーん」

何だ、何だ。

みんなキャラクターにハマると集めるのか?

兄キと言い、クスミと言い、茉と言い・・・。

「今何匹くらい集まってんの?」

「ぶっ!!」

「!?」

オレは変な質問をしたつもりはないが、茉はなぜか吹き出した。

「何匹って!!生き物じゃないんだから、その単位はおかしいでしょ」

「・・・・・・・・・」

しまった!

つい兄キの影響で!

オレは最初、○個って言ってたんだ。

でも兄キはNキャラは○匹って数えるんだって言うから!!

「エヌマーは1個しかないよ。だからこれをあわせたら5個になる」

「へー」

「やっぱ好きなものっていっぱい欲しいじゃん?だからもっともーっと集めたいんだー」

「じゃあクスミに言って取ってもらえば?」

「お願いしたいのは山々だけど、今青春中だし邪魔しちゃ悪いじゃない?」

うーん、青春・・・青春っぽくない青春だけど・・・。

「そうだ、今からエヌエヌランドに行こうよ。あそこにエヌクエのキャラいっぱいあるし」

「え?唐突だな」

「あそこでエヌマー取ってよ」

「え!?」

取る!?

オレが取るのか?

これはまずい展開になってしまった。
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