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2.メリーバースデー
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オレの学校は12月24日、クリスマスイブが終業式だったりする。
クスミの家はオレ達とは逆方向になるので、朝だけオレは兄キと登校している。
別に何とも思わないが、朝は兄キと2人になる貴重な時間だ。
貴重というほど重要な人物ではないが・・・。
「いやー、待ちに待った冬休みだな」
登校中、兄キは何度も何度もバンザイをしながら言っている。
「それは終業式が終わってから言うもんだろ」
まだ終業式の朝だぞ。
冬休みを喜ぶにはまだ早い。
「もう気分は冬休みだ。ここはフライングしないとどうするんだよ!」
冬休みというだけでハイテンションになれる兄キはさすがだ。
「めでたいな」
「おう、一真も明日誕生日でめでたいな」
誕生日がめでたいのは小学生までだ。
高校生ともなると何がめでたいのかよくわからなくなってくる。
心底祝ってくれるのは身内だけだしな。
「ところで冬休みはどうするんだ?相変わらずクスミとNキャラ巡りでもするのか?」
休日はNキャラ巡りをしているくらいだから冬休みもその延長として続けるのかと思っていたが、兄キの返事は意外だった。
「たわけ!冬休みアニメスペシャルを見るに決まってんだろ!」
「何だそれは。冬休みはクスミとデートしないのかよ」
「クスミっちと一緒に見るんだよ」
冬休みアニメスペシャルというのは、冬休みに入って暇を持て余す小学生に用意されている冬休み期間限定のテレビ番組だ。
対象年齢は一応小学生なのだが。
「聞いて驚くなよ?このアニメスペシャルの時は、えぬえぬといっしょが通常より10分延長するんだぞ?」
「ほぅ、それは地味にすごいな」
「地味に、ってのは余計だぞ」
だってえぬえぬといっしょという番組はそれほど人気というわけではなさそうだし。
ただ毎日放送されているから誰かしら見ているというだけで・・・。
「そのアニメスペシャルをクスミっちの部屋の50型テレビで見るのが楽しみなんだよ」
「ご、50!?」
す、すげえ!
前にクスミの家に行った時はテレビなどチェックしていなかったが、自分の部屋に50型テレビを持ってやがるのか。
それも地味にすごい。
「楽しみができて良かったな、兄キ」
「何だ、そんな言い方するってことは一真はないのか?」
「何もないな」
「何だよ、しょうもないやつだな」
超放っておいてくれ。
っていうか、一応イトコなんだ。
イトコ相手にしょうもないはひどいだろ。
「あ」
突如声を上げた兄キの視線の先にクスミが現れた。
「噂をすればクスミっちだ!」
「噂というほどクスミの話したっけ?」
オレの言葉に返事することなく、兄キはクスミの元へ駆け寄っていってしまった。
おい、オレは無視か。
彼女ができたらこんなものなのか、男って!!
しかしまぁ、クスミも嬉しそうにしている姿を見るとオレの怒りもすぐに冷めた。
楽しそうなこった。
これから冬休みの間、楽しい毎日が待っているんだろうな。
冬休み・・・オレはどんな予定を立てようか。
特に予定もない予定を考えるほど面倒なものはない。
だが毎日ゴロゴロ同じ日を過ごすのだけは勘弁だ。
だからと言って何かイベントがあるわけでもないし・・・。
「やい、少年!」
オレが頭の中で考えていると、背後で声がした。
だがオレは少年ではないので、別人を呼んでいるのだと思い、無視した。
「やいやい、少年!無視するんじゃないよ!」
さっきと同じ声の主はそう言ってオレの腕をつかんできた。
クスミの家はオレ達とは逆方向になるので、朝だけオレは兄キと登校している。
別に何とも思わないが、朝は兄キと2人になる貴重な時間だ。
貴重というほど重要な人物ではないが・・・。
「いやー、待ちに待った冬休みだな」
登校中、兄キは何度も何度もバンザイをしながら言っている。
「それは終業式が終わってから言うもんだろ」
まだ終業式の朝だぞ。
冬休みを喜ぶにはまだ早い。
「もう気分は冬休みだ。ここはフライングしないとどうするんだよ!」
冬休みというだけでハイテンションになれる兄キはさすがだ。
「めでたいな」
「おう、一真も明日誕生日でめでたいな」
誕生日がめでたいのは小学生までだ。
高校生ともなると何がめでたいのかよくわからなくなってくる。
心底祝ってくれるのは身内だけだしな。
「ところで冬休みはどうするんだ?相変わらずクスミとNキャラ巡りでもするのか?」
休日はNキャラ巡りをしているくらいだから冬休みもその延長として続けるのかと思っていたが、兄キの返事は意外だった。
「たわけ!冬休みアニメスペシャルを見るに決まってんだろ!」
「何だそれは。冬休みはクスミとデートしないのかよ」
「クスミっちと一緒に見るんだよ」
冬休みアニメスペシャルというのは、冬休みに入って暇を持て余す小学生に用意されている冬休み期間限定のテレビ番組だ。
対象年齢は一応小学生なのだが。
「聞いて驚くなよ?このアニメスペシャルの時は、えぬえぬといっしょが通常より10分延長するんだぞ?」
「ほぅ、それは地味にすごいな」
「地味に、ってのは余計だぞ」
だってえぬえぬといっしょという番組はそれほど人気というわけではなさそうだし。
ただ毎日放送されているから誰かしら見ているというだけで・・・。
「そのアニメスペシャルをクスミっちの部屋の50型テレビで見るのが楽しみなんだよ」
「ご、50!?」
す、すげえ!
前にクスミの家に行った時はテレビなどチェックしていなかったが、自分の部屋に50型テレビを持ってやがるのか。
それも地味にすごい。
「楽しみができて良かったな、兄キ」
「何だ、そんな言い方するってことは一真はないのか?」
「何もないな」
「何だよ、しょうもないやつだな」
超放っておいてくれ。
っていうか、一応イトコなんだ。
イトコ相手にしょうもないはひどいだろ。
「あ」
突如声を上げた兄キの視線の先にクスミが現れた。
「噂をすればクスミっちだ!」
「噂というほどクスミの話したっけ?」
オレの言葉に返事することなく、兄キはクスミの元へ駆け寄っていってしまった。
おい、オレは無視か。
彼女ができたらこんなものなのか、男って!!
しかしまぁ、クスミも嬉しそうにしている姿を見るとオレの怒りもすぐに冷めた。
楽しそうなこった。
これから冬休みの間、楽しい毎日が待っているんだろうな。
冬休み・・・オレはどんな予定を立てようか。
特に予定もない予定を考えるほど面倒なものはない。
だが毎日ゴロゴロ同じ日を過ごすのだけは勘弁だ。
だからと言って何かイベントがあるわけでもないし・・・。
「やい、少年!」
オレが頭の中で考えていると、背後で声がした。
だがオレは少年ではないので、別人を呼んでいるのだと思い、無視した。
「やいやい、少年!無視するんじゃないよ!」
さっきと同じ声の主はそう言ってオレの腕をつかんできた。
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