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9.2人の変化
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クスミの家から帰ってきて数時間後、オレは自分の部屋で数学の宿題をやっていた。
学校で宿題や課題が出た時、オレは決まって風呂上りの夜、家族みんながそろそろ寝る準備をする頃にやる。
この時間帯は静かで集中できるからだ。
そんなわけでいつものように風呂から上がって宿題をするために、オレは机に向かっていた。
コロコロ…。
「ん?」
いつも静まり返るこの時間、オレはかすかに聞こえる物音に反応した。
どこかで小さくコロコロ音がなっている。
気のせいかと思い、再びシャーペンを握り直したがまたコロコロ音が耳についた。
「何だ?」
音が聞こえてくるのは方向から言って兄キの部屋からだ。
何か転がっているような音が…。
嫌な予感がするな。
また兄キ、つまらんことをしているんじゃないだろうな?
不安を感じながらもオレは兄キの部屋を覗きにいくことにした。
何もないにしろ、音が気になって仕方がない。
何かあったら‘うるさい!’と一喝してやろう。
「兄キー」
オレは兄キの部屋のドアを開けると同時に声をかけた。
すると中で兄キがカレンダーに向かって何か投げているのが見えた。
「あ、一真か」
兄キは突然現れたオレに怒ることもなく平然としている。
兄キはこういうことに関しては心が広い。
オレなら自分が返事をする前に部屋の中へ入ってこられると、いい気がしないから怒るが。
「何やってんだよ、兄キ」
オレは兄キの行為を見て率直に尋ねた。
さっきからコロコロ音がなっていたが、その正体はどうやら鉛筆のようだ。
カレンダーに向かって鉛筆を投げ、カレンダーから跳ね返った鉛筆が床をコロコロ転がっている音がオレの部屋に聞こえていたのだ。
「見ての通り、鉛筆を投げてるんだよ」
「いや、それは見ればわかるけど、何の為に?」
「聞きたいのか?」
「聞きたくないけど、どうせ言うんだろ?」
というか、兄キの表情は言う気満々だ。
否定しても意味はない気がする。
「実はな、勝負日を決めようと思ってるんだ」
「勝負日?」
また兄キの口から変な言葉が出てきたな。
この続きを聞くのが恐いぜ。
「勝負日って一体何の勝負日だ?」
「告白の、だ」
「告白!?」
な、な、な、何だって!?
兄キに似つかわしくない言葉が兄キの口から!!
「相手は誰だよ!?」
「決まってるだろ。クスミっちだよ」
「えー!?」
まぁ今まで女の子はクスミとしか仲良くしていないから当たり前と言えば当たり前だが、そんな恋愛感情を抱くようなできごとが今までにあったか?
クスミと言えばいつでもNキャラしか絡んでいなかったような…。
学校で宿題や課題が出た時、オレは決まって風呂上りの夜、家族みんながそろそろ寝る準備をする頃にやる。
この時間帯は静かで集中できるからだ。
そんなわけでいつものように風呂から上がって宿題をするために、オレは机に向かっていた。
コロコロ…。
「ん?」
いつも静まり返るこの時間、オレはかすかに聞こえる物音に反応した。
どこかで小さくコロコロ音がなっている。
気のせいかと思い、再びシャーペンを握り直したがまたコロコロ音が耳についた。
「何だ?」
音が聞こえてくるのは方向から言って兄キの部屋からだ。
何か転がっているような音が…。
嫌な予感がするな。
また兄キ、つまらんことをしているんじゃないだろうな?
不安を感じながらもオレは兄キの部屋を覗きにいくことにした。
何もないにしろ、音が気になって仕方がない。
何かあったら‘うるさい!’と一喝してやろう。
「兄キー」
オレは兄キの部屋のドアを開けると同時に声をかけた。
すると中で兄キがカレンダーに向かって何か投げているのが見えた。
「あ、一真か」
兄キは突然現れたオレに怒ることもなく平然としている。
兄キはこういうことに関しては心が広い。
オレなら自分が返事をする前に部屋の中へ入ってこられると、いい気がしないから怒るが。
「何やってんだよ、兄キ」
オレは兄キの行為を見て率直に尋ねた。
さっきからコロコロ音がなっていたが、その正体はどうやら鉛筆のようだ。
カレンダーに向かって鉛筆を投げ、カレンダーから跳ね返った鉛筆が床をコロコロ転がっている音がオレの部屋に聞こえていたのだ。
「見ての通り、鉛筆を投げてるんだよ」
「いや、それは見ればわかるけど、何の為に?」
「聞きたいのか?」
「聞きたくないけど、どうせ言うんだろ?」
というか、兄キの表情は言う気満々だ。
否定しても意味はない気がする。
「実はな、勝負日を決めようと思ってるんだ」
「勝負日?」
また兄キの口から変な言葉が出てきたな。
この続きを聞くのが恐いぜ。
「勝負日って一体何の勝負日だ?」
「告白の、だ」
「告白!?」
な、な、な、何だって!?
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「相手は誰だよ!?」
「決まってるだろ。クスミっちだよ」
「えー!?」
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