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6.復活
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オレは起こしてやっているにも関わらず、殴られたことに納得がいかず、兄キにキレた。
「このバカ兄キ!早く起きろ!!」
兄キの顔をバチバチ叩きながら、オレは声を荒げた。
「ひえ~」
顔を叩く音とともに兄キの悲痛な叫びが部屋に響いた。
数十分後、オレはいつものように通学路を歩いていた。
横には少し顔の腫れた兄キがいる。
「なぁ、一真」
「ん?」
「朝はもっと普通に起こしてくれないか?」
赤くなった頬を擦りながら兄キは要望を出してくる。
「そうでないとオレは朝から痛いんだが」
今朝のビンタが相当効いたのか、なかなか手が顔を離れない。
しかし悪いのは兄キだ。
オレが悪いわけではない。
「朝がどうなるかは兄キの目覚め次第だ」
もうこの他に言うことはないくらい妥当な回答だ。
全ては兄キの目覚めが悪いために起こっていることなのだ。
「それより兄キ、今日はちゃんとNキャラを下敷きにしないで寝てたな」
オレは無理やり話題を変えた。
いつまでも兄キの目覚めについて語っていても仕方がない。
「何言ってんだよ。前のあれはNキャラがオレの体の下に移動してきただけだって」
「そんな非現実的な物の言い方は夢の中だけで頼むよ」
まったく、寝言は寝ている時だけにして欲しいもんだ。
「それより今日は持ってきてないだろうな?」
「おぅ、留守番させてきた。みんなうるさいから」
そのみんなの中にはオレも入っているのか?
オレはうるさく言っているんじゃないぞ?
忠告してやっているだけだぞ?
「本当はNキャラを家に置いてくるなんて…断腸の思いなんだ」
「何でそんな難しい言葉を使うんだよ」
「フフフ、知ってるか?一真。断腸って言葉はサルから生まれた言葉なんだぞ?」
「サル?あのキーキー鳴くサルか?」
「そうだ。実はなー…」
オレが知らなかったからか、兄キは得意そうに語りだした。
なるほど、ただ自分が知っている雑学を自慢したいのか。
「子と生き別れになった親ザルが子を必死に捜しまくった。その親ザルを解剖してみたら腸がズタズタだったって話だ」
「うわぁ」
「それくらい必死に捜したってことだよ。そんな理由で一番子思いの動物はサルと言われている。泣けるだろ?」
まぁ泣ける話かもしれないが、兄キの口から聞くとあまり泣けないのは気のせいということにしておくか。
「ちなみに一番Nキャラのことを思っているのはオレだから覚えておいてくれ」
「へーへー」
兄キのセリフを聞きながらオレは昨日のことを思い出していた。
Nキャラのことを思っているやつが天井にボコボコぶつけるはずがないだろう。
思い込みも度が過ぎるとヤバイな。
オレがフンと鼻で笑うと、それを聞き逃さなかった兄キが文句を言い出した。
「おい、今心の中でオレのセリフを否定したんじゃないだろうな」
「わかってるなら口にするなよ」
「何ー?本当だったのか。信じらんないな、お前」
一見話が一段落してもすぐにまた騒がしくなる。
そんな兄キとのやりとりをしているうちに学校に着いた。
「このバカ兄キ!早く起きろ!!」
兄キの顔をバチバチ叩きながら、オレは声を荒げた。
「ひえ~」
顔を叩く音とともに兄キの悲痛な叫びが部屋に響いた。
数十分後、オレはいつものように通学路を歩いていた。
横には少し顔の腫れた兄キがいる。
「なぁ、一真」
「ん?」
「朝はもっと普通に起こしてくれないか?」
赤くなった頬を擦りながら兄キは要望を出してくる。
「そうでないとオレは朝から痛いんだが」
今朝のビンタが相当効いたのか、なかなか手が顔を離れない。
しかし悪いのは兄キだ。
オレが悪いわけではない。
「朝がどうなるかは兄キの目覚め次第だ」
もうこの他に言うことはないくらい妥当な回答だ。
全ては兄キの目覚めが悪いために起こっていることなのだ。
「それより兄キ、今日はちゃんとNキャラを下敷きにしないで寝てたな」
オレは無理やり話題を変えた。
いつまでも兄キの目覚めについて語っていても仕方がない。
「何言ってんだよ。前のあれはNキャラがオレの体の下に移動してきただけだって」
「そんな非現実的な物の言い方は夢の中だけで頼むよ」
まったく、寝言は寝ている時だけにして欲しいもんだ。
「それより今日は持ってきてないだろうな?」
「おぅ、留守番させてきた。みんなうるさいから」
そのみんなの中にはオレも入っているのか?
オレはうるさく言っているんじゃないぞ?
忠告してやっているだけだぞ?
「本当はNキャラを家に置いてくるなんて…断腸の思いなんだ」
「何でそんな難しい言葉を使うんだよ」
「フフフ、知ってるか?一真。断腸って言葉はサルから生まれた言葉なんだぞ?」
「サル?あのキーキー鳴くサルか?」
「そうだ。実はなー…」
オレが知らなかったからか、兄キは得意そうに語りだした。
なるほど、ただ自分が知っている雑学を自慢したいのか。
「子と生き別れになった親ザルが子を必死に捜しまくった。その親ザルを解剖してみたら腸がズタズタだったって話だ」
「うわぁ」
「それくらい必死に捜したってことだよ。そんな理由で一番子思いの動物はサルと言われている。泣けるだろ?」
まぁ泣ける話かもしれないが、兄キの口から聞くとあまり泣けないのは気のせいということにしておくか。
「ちなみに一番Nキャラのことを思っているのはオレだから覚えておいてくれ」
「へーへー」
兄キのセリフを聞きながらオレは昨日のことを思い出していた。
Nキャラのことを思っているやつが天井にボコボコぶつけるはずがないだろう。
思い込みも度が過ぎるとヤバイな。
オレがフンと鼻で笑うと、それを聞き逃さなかった兄キが文句を言い出した。
「おい、今心の中でオレのセリフを否定したんじゃないだろうな」
「わかってるなら口にするなよ」
「何ー?本当だったのか。信じらんないな、お前」
一見話が一段落してもすぐにまた騒がしくなる。
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