twice dice

３．いつでも一緒

４

顔を上げると、その正体はクスミだとわかった。

「お、おはよう」

さっきの今で、オレは思わず動揺した。

噂をすれば何とやらだ。

噂をしていた人物が突然現れると正直ビビる。

「おはようございます」

クスミは相変わらずの無表情だ。

制服姿のクスミからは、一昨日のハイテンションぶりは微塵にも感じられない。

「あー、一昨日はサンキュー」

いつも女子とは積極的に話をしない兄キは、クスミには普通に話しかける。

趣味が合うとこんなものか。

ま、仲良くなることに何ら問題はないが…。

「あのＮキャラさー、今日学校に」

「！！」

なっ…まさか兄キ、さっきのオレとの会話を忘れて禁句を言うつもりなんじゃ…。

「持ってき―――」

「わーっ！！」

やっぱり！

兄キはさっき注意したのに、忘れて没収されたことをクスミに言おうとしているじゃないか。

オレはすぐさま叫んで兄キのセリフをかき消した。

クスミはわけがわからずポカーンとしている。

「な、何でもないんだ。じゃあな」

オレは兄キの口をふさぐと、クスミの前から姿を消した。