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2.意外な共通点
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ここから先は兄キの仕事だ。
Nキャラが欲しいのはオレじゃなく兄キだからな。
オレが言いたいことを理解したのか、兄キはオレのセリフを続けた。
「UFOキャッチャーが得意って聞いたんだけど」
「え?」
「得意なの?どうなの?そこのところ詳しく!」
唐突な聞き方だな。
それにわざわざ聞かなくても茉に聞いたじゃないか。
「UFOキャッチャー、得意です。腕もプロ級です」
「プロ級?すごいじゃん」
「すごいです」
「それ、自分で言う!?」
全くだ。
どれほど自信があるのか知らんが、プロ級とまで言い切るなんてたいした自信家じゃないか。
「得意なら話は早い」
え?
得意ってのは茉に聞いて知っていたはずだろ。
兄キは話が遅いな。
「実はUFOキャッチャーで取って欲しい物があってさー」
「何ですか?」
「ん?あれ。Nキャラ」
兄キはNキャラの入ったUFOキャッチャーを指差しながら言った。
その瞬間、クスミの目の色が変わった。
「ゆ、ユノモトくんもNキャラ好きですか?」
「わっ」
クスミは突然オレを軽く突き飛ばし、兄キの真ん前まで近寄ってきた。
お、オレを突き飛ばすとは…。
しかしクスミはオレを突き飛ばしたことなど頭にないようだ。
「オレ、Nキャラ好きだよ。付き合って欲しいくらい」
「わ、私もそれくらい好きです」
それくらいって、付き合って欲しいくらい?
どんなレベルだ。
わかりづらい。
「Nキャラのあの無表情な顔!どこ見てるかわからない瞳!四角とも丸ともいいがたいいびつな輪郭!どれを取っても素敵ですよね」
「うん、うん」
今の、オレには褒めてるようには聞こえなかったんだが、気のせいか?
特にいびつな輪郭って!
いびつってひどすぎ!
しかしクスミと兄キは今ので意気投合したようだ。
「あの倒した時に言う‘やられたでよ’のセリフもいいよね」
「ですね」
「にげる時の‘さらばでよ’って分身の術みたいに消えるのもいいよね」
「ですよね」
「頭叩く度に‘でよ’って言うの、たまらないよね」
「ですよね!」
兄キが何か言う度、クスミのテンションが上がっていく。
いつも地味で目立たなく暗かったクスミをここまで変化させる兄キって、ある意味すごいな。
「ユノモトくんは本当にNキャラ好きなんですね」
「そっちもね」
「私はずっと前からNキャラ好きなんです。休憩中もよくNキャラ描いてて」
「ふーん」
「あ、お絵描き帳持ってきてるんですけど、見ます?」
「うん」
クスミは肩掛け鞄からノートらしきものを取り出すと、兄キに手渡した。
お絵描き帳って何だよ。
しかも持参って。
こんな所まで持ってくるか、普通。
「すげーな」
オレは兄キのその声に近寄ってクスミのノートを覗き見た。
Nキャラが欲しいのはオレじゃなく兄キだからな。
オレが言いたいことを理解したのか、兄キはオレのセリフを続けた。
「UFOキャッチャーが得意って聞いたんだけど」
「え?」
「得意なの?どうなの?そこのところ詳しく!」
唐突な聞き方だな。
それにわざわざ聞かなくても茉に聞いたじゃないか。
「UFOキャッチャー、得意です。腕もプロ級です」
「プロ級?すごいじゃん」
「すごいです」
「それ、自分で言う!?」
全くだ。
どれほど自信があるのか知らんが、プロ級とまで言い切るなんてたいした自信家じゃないか。
「得意なら話は早い」
え?
得意ってのは茉に聞いて知っていたはずだろ。
兄キは話が遅いな。
「実はUFOキャッチャーで取って欲しい物があってさー」
「何ですか?」
「ん?あれ。Nキャラ」
兄キはNキャラの入ったUFOキャッチャーを指差しながら言った。
その瞬間、クスミの目の色が変わった。
「ゆ、ユノモトくんもNキャラ好きですか?」
「わっ」
クスミは突然オレを軽く突き飛ばし、兄キの真ん前まで近寄ってきた。
お、オレを突き飛ばすとは…。
しかしクスミはオレを突き飛ばしたことなど頭にないようだ。
「オレ、Nキャラ好きだよ。付き合って欲しいくらい」
「わ、私もそれくらい好きです」
それくらいって、付き合って欲しいくらい?
どんなレベルだ。
わかりづらい。
「Nキャラのあの無表情な顔!どこ見てるかわからない瞳!四角とも丸ともいいがたいいびつな輪郭!どれを取っても素敵ですよね」
「うん、うん」
今の、オレには褒めてるようには聞こえなかったんだが、気のせいか?
特にいびつな輪郭って!
いびつってひどすぎ!
しかしクスミと兄キは今ので意気投合したようだ。
「あの倒した時に言う‘やられたでよ’のセリフもいいよね」
「ですね」
「にげる時の‘さらばでよ’って分身の術みたいに消えるのもいいよね」
「ですよね」
「頭叩く度に‘でよ’って言うの、たまらないよね」
「ですよね!」
兄キが何か言う度、クスミのテンションが上がっていく。
いつも地味で目立たなく暗かったクスミをここまで変化させる兄キって、ある意味すごいな。
「ユノモトくんは本当にNキャラ好きなんですね」
「そっちもね」
「私はずっと前からNキャラ好きなんです。休憩中もよくNキャラ描いてて」
「ふーん」
「あ、お絵描き帳持ってきてるんですけど、見ます?」
「うん」
クスミは肩掛け鞄からノートらしきものを取り出すと、兄キに手渡した。
お絵描き帳って何だよ。
しかも持参って。
こんな所まで持ってくるか、普通。
「すげーな」
オレは兄キのその声に近寄ってクスミのノートを覗き見た。
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