twice dice

２．意外な共通点

２

約束の一時にはまだ十分時間がある。

しかしオレと兄キは既に待ち合わせ場所に設定した、えぬえぬランドに来ていた。

ハッキリ言って、オレが付き添う意味はないのだが、ついて来いと兄キがうるさかったので仕方なく来た。

クスミは変に思わないだろうか？

「だけど驚きだよなー」

オレはこうなった経緯を思い出しながら兄キに話しかけた。

「断られると思ったけど、案外簡単にＯＫしてもらえたな」

実はあの時、オレはクスミがＯＫしてくれるとは思っていなかった。

いつも一人でいるやつだ。

誰かと一緒に行動することに慣れていないだろう。

強引に誘わなければ無理だと思った。

しかし兄キは強引な誘い方をしたわけではない。

なのになぜＯＫしたのか？

もしかしてクスミは兄キのことを……。

むむむ、ありそうな設定にオレは妙な胸騒ぎを覚えた。

「今日で親しくなったらクスミが持ってるＮキャラくれたりして。な？兄キ」

ちょっと兄キをからかうように言ってみた。

が、兄キは返事をしない。

と、いうより目はＮキャラの入っているＵＦＯキャッチャーに釘付けだ。

「ひーふー…おい、Ｎキャラが二匹いるぞ」

こ、このやろう！

オレの話を無視してＮキャラに夢中になってんじゃねー！

「兄キ！！」

「何だよ、一真も気づいたのか？二匹いるけど、どっちも下に埋まってるってことに」

「本当だ。…って、違う！！」

兄キ、本当にＮキャラには目がないんだな。

しかし人が話をしている時はちゃんと話を聞くべきだ。

「オレが今話しかけてただろ。無視してＮキャラ数えてんじゃないよ」

「何言ってんだ！Ｎキャラの存在を確認しておかないとクスミを呼んでる意味がないだろ」

「そりゃそうだけど」

兄キの言うことも一理あるな。

しかしオレは兄キを人の話を聞かないやつに育てた覚えはないぞ。

「あー、はいはい。クスミって一人でいるから断ると思ったのに、引き受けてくれて良かったな」

「！！」

「でも今日一日仲良くなっただけでＮキャラをくれるとは思わんぞ、オレは」

な、何！？

Ｎキャラに夢中になっていたくせにオレの話をちゃんと聞いているではないか。

何なんだ、その無駄にすごい能力は。

「お、ところで今何時だ？そろそろ待ち合わせの時間だったような…」

「兄キ、何時の待ち合わせだったっけ？」

「何言ってんだ、今頃。一時だろ」

「あぁそうだったか。オレは直接約束したわけじゃないからうろ覚えで…」

「だったらクリックポチポチして前記事読み直して確かめる努力をしろよな」

「は、はぁ。すまん」

って、何でオレこんな所で謝っているんだ。

しかも努力をしない兄キに変な説教されるなんて。