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1.噂のクラスメイト
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状況を知らない他人が見たら、
'え?これは一体どういうこと?'
になるかもしれない。
クラスメイトのクスミは非常に暗い子で、誰かと笑い合っている姿を見たことがあるかどうか、定かではない。
そんなクスミに向かってデートの申し込みをするなんて!!
オレ自身も裏を知らなければ我が目を疑いたくなるような光景だ。
こんなことになった理由は、先日のできごとが原因だった。
先日、夏休み最後の日。
オレ(湯元一真)は兄キととあるゲームセンターでボーリングを楽しんでいた。
兄キと言っても実際は兄キではない。
同い年のイトコだ。
名字も同じだし、クラスメイト同士だし、さらに通学の関係でオレは兄キの家へ居候している状態。
兄弟みたいなものだから、そう言っているだけだ。
同い年だが自分の方が誕生日が遅いという理由で、自分が弟分だ。
兄キは優越感があるからか、そう呼ばれることに抵抗を感じていない。
だから学校でもオレは兄キと呼んでいる。
クラスメイトもみんなそれを知っている。
だから一部の生徒も兄キと呼ぶ。
それはさておき、一週間前オレと兄キはボーリングを楽しんでいた。
しかし楽しかったのはどうやらオレだけで、兄キはさほど楽しくなかったようだ。
と、いうのも…。
「あ゛ーあ゛ー、Gスコアが目立つなぁ」
兄キはボーリングが下手だったのだ。
いや、下手ではない。
超下手くそだ。
Gとはガーターのことで、両端の溝にはまってピンは一本も倒れない、情けなくなる状態のことを言う。
それが全体の九割を占めるのが兄キのスコアだ。
三回やったところで三回とも三十にすら届かない兄キは、非常にコントロールが悪い。
イトコだからか、オレと兄キは外見や性格に似ている点はあるが、大きな違いがこのコントロールの差だ。
ボーリングに限らず、兄キはコントロールがお世辞もつけられないほど悪い。
キャッチボールをすれば見当違いの方向に投げるし、水泳もなぜか斜めに進んでいる。
よく背泳ぎは斜めに泳いでいってしまうという人はいるが、クロールで目もちゃんとあけて泳いでいるのに斜めに進んでしまう人は少ないだろう。
「投げ方がおかしいんだよ」
兄キがいつまでもスコア表から目を離さないので、オレは親切に忠告してやった。
「だって溝に向かって投げてるだろ。あんな投げ方すればガーターになるに決まってるって」
そうだ。
兄キはボーリングの玉を投げるその先が溝になっているのだ。
ピンに向かってまっすぐ投げておらず、体が斜めになっているから溝にはまって当然なのだ。
しかしコントロールが悪いことをまるでわかっていない兄キは、そうじゃないそうじゃない、と聞く耳を持たない。
'え?これは一体どういうこと?'
になるかもしれない。
クラスメイトのクスミは非常に暗い子で、誰かと笑い合っている姿を見たことがあるかどうか、定かではない。
そんなクスミに向かってデートの申し込みをするなんて!!
オレ自身も裏を知らなければ我が目を疑いたくなるような光景だ。
こんなことになった理由は、先日のできごとが原因だった。
先日、夏休み最後の日。
オレ(湯元一真)は兄キととあるゲームセンターでボーリングを楽しんでいた。
兄キと言っても実際は兄キではない。
同い年のイトコだ。
名字も同じだし、クラスメイト同士だし、さらに通学の関係でオレは兄キの家へ居候している状態。
兄弟みたいなものだから、そう言っているだけだ。
同い年だが自分の方が誕生日が遅いという理由で、自分が弟分だ。
兄キは優越感があるからか、そう呼ばれることに抵抗を感じていない。
だから学校でもオレは兄キと呼んでいる。
クラスメイトもみんなそれを知っている。
だから一部の生徒も兄キと呼ぶ。
それはさておき、一週間前オレと兄キはボーリングを楽しんでいた。
しかし楽しかったのはどうやらオレだけで、兄キはさほど楽しくなかったようだ。
と、いうのも…。
「あ゛ーあ゛ー、Gスコアが目立つなぁ」
兄キはボーリングが下手だったのだ。
いや、下手ではない。
超下手くそだ。
Gとはガーターのことで、両端の溝にはまってピンは一本も倒れない、情けなくなる状態のことを言う。
それが全体の九割を占めるのが兄キのスコアだ。
三回やったところで三回とも三十にすら届かない兄キは、非常にコントロールが悪い。
イトコだからか、オレと兄キは外見や性格に似ている点はあるが、大きな違いがこのコントロールの差だ。
ボーリングに限らず、兄キはコントロールがお世辞もつけられないほど悪い。
キャッチボールをすれば見当違いの方向に投げるし、水泳もなぜか斜めに進んでいる。
よく背泳ぎは斜めに泳いでいってしまうという人はいるが、クロールで目もちゃんとあけて泳いでいるのに斜めに進んでしまう人は少ないだろう。
「投げ方がおかしいんだよ」
兄キがいつまでもスコア表から目を離さないので、オレは親切に忠告してやった。
「だって溝に向かって投げてるだろ。あんな投げ方すればガーターになるに決まってるって」
そうだ。
兄キはボーリングの玉を投げるその先が溝になっているのだ。
ピンに向かってまっすぐ投げておらず、体が斜めになっているから溝にはまって当然なのだ。
しかしコントロールが悪いことをまるでわかっていない兄キは、そうじゃないそうじゃない、と聞く耳を持たない。
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