19 / 21
18
しおりを挟む
声をかけられた時、私は手に財布を持っていた。
もちろんこれは鞄に戻そうとしていたところ。
だけど今、その瞬間を目撃した人にとってそんな状況はわからない。
2人にとって私は、ただ金目のものを探しているようにしか見えていなかったと思う。
「とりあえず事情を聞くわ。財布は元に戻して」
さすがというか、副会長は生徒会をしているだけあって冷静さを保っていた。
でも遅かったわ。
私は突然のことで体が動かなかったし、放送や呼びかけで学級委員もぞろぞろとやってきてしまった。
私はどこから見ても盗みを働いているようにしか見えなくて、ついには先生にも目撃されて職員室に連れて行かれてしまったの。
今までに私、言っていたかしら?
私が通っていた学校は進学校だったってこと。
オマケに私立だったのよね。
進学率90%と定評のある学校にとって、スキャンダルなニュースはご法度。
だから私のこの事件は警察に突き出されるようなことはなく、内密に処分が下されたわ。
退学、というもっとも重い処分が。
仕方がなかったと言えばそうだし、むしろこれで安心だったかも。
1度汚点を見られた以上、今までと同じ生活は望めないしね。
彼の前にも姿をさらけ出せないわ。
結局私が職員室に連れて行かれるまで彼には会わなかった。
というか、彼が放送をかける為に教室を出て行って以来、彼の姿を見ていないの。
私が最後に見たのは彼ではなく、折り畳み傘だったっていうのが皮肉よね。
最後まで憎かったわ。
もちろんこれは鞄に戻そうとしていたところ。
だけど今、その瞬間を目撃した人にとってそんな状況はわからない。
2人にとって私は、ただ金目のものを探しているようにしか見えていなかったと思う。
「とりあえず事情を聞くわ。財布は元に戻して」
さすがというか、副会長は生徒会をしているだけあって冷静さを保っていた。
でも遅かったわ。
私は突然のことで体が動かなかったし、放送や呼びかけで学級委員もぞろぞろとやってきてしまった。
私はどこから見ても盗みを働いているようにしか見えなくて、ついには先生にも目撃されて職員室に連れて行かれてしまったの。
今までに私、言っていたかしら?
私が通っていた学校は進学校だったってこと。
オマケに私立だったのよね。
進学率90%と定評のある学校にとって、スキャンダルなニュースはご法度。
だから私のこの事件は警察に突き出されるようなことはなく、内密に処分が下されたわ。
退学、というもっとも重い処分が。
仕方がなかったと言えばそうだし、むしろこれで安心だったかも。
1度汚点を見られた以上、今までと同じ生活は望めないしね。
彼の前にも姿をさらけ出せないわ。
結局私が職員室に連れて行かれるまで彼には会わなかった。
というか、彼が放送をかける為に教室を出て行って以来、彼の姿を見ていないの。
私が最後に見たのは彼ではなく、折り畳み傘だったっていうのが皮肉よね。
最後まで憎かったわ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完結】雨上がり、後悔を抱く
私雨
ライト文芸
夏休みの最終週、海外から日本へ帰国した田仲雄己(たなか ゆうき)。彼は雨之島(あまのじま)という離島に住んでいる。
雄己を真っ先に出迎えてくれたのは彼の幼馴染、山口夏海(やまぐち なつみ)だった。彼女が確実におかしくなっていることに、誰も気づいていない。
雨之島では、とある迷信が昔から吹聴されている。それは、雨に濡れたら狂ってしまうということ。
『信じる』彼と『信じない』彼女――
果たして、誰が正しいのだろうか……?
これは、『しなかったこと』を後悔する人たちの切ない物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる