*いにしえのコトノハ*2 レインドロップス

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1つ目は見た瞬間に折り畳み傘が入ってないことがわかったから、軽く中身を確認して元の位置に置いた。

2つ目を覗くと奥の方に何やら傘らしきものが見えた。

これに違いない。

そう確信した私は折り畳み傘を盗りやすいように、中身を全部取り出したの。

教科書にノートにペンケースに財布に飴玉。

そして折り畳み傘。

初めて見せてくれた時と全く同じ傘。

これよ。

これが邪魔なのよ。

これさえなければ私は今までと同じように彼と雨の中を登下校できるの。

これをどこかに捨てちゃえばいいんだわ。

そうすれば全てが今まで通りに戻るの。

私は折り畳み傘を取り出し、後方に置いた。

そして出したものを1つずつ元に戻していた、その時だった。

「何してるの?」

「!!」 

声に気づいて振り向くと、教室を出て行った副会長と書記の姿があったの。

生徒会長…はいなかった。

彼は1人別行動をしていたから一緒には戻ってこなかった。

それが幸か不幸か考えている余裕はなかった。

そんなことを気にしていられないほど事態は緊迫していたのだから。
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