*いにしえのコトノハ*2 レインドロップス

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それから何日かは雨が降れば彼とあいあい傘で登下校する日が続いた。

朝雨が降った時、彼は改札口で雨宿りをしている。

そんな彼に傘を差し出して一緒に登校する。

私達はいつしか携帯のメールアドレスを交換する仲となり、帰りも雨が降っていて彼に傘がない時は傘に入れて欲しいというメールが届き、一緒に帰るようになった。

ただ、彼は受験生という立場から雨の日の登下校に関する以外のメールは受け付けてくれなかったし、期待も抱けなかった。

それでも雨の日は一緒に登下校できるだけで私は嬉しかったのよ。

それにあいあい傘をした時は必ず飴玉を1つくれた。

雨が降っていると駅の売店で飴を買ってしまうんだって。

で、1つ舐めている間に雨が止んで欲しいと願うらしいけど、叶うことはなかったみたい。

雨と飴って、シャレじゃないんだから。

しかも私にくれていた飴がその余りだったなんてね。

でも青春漂う甘酸っぱいレモン味の飴は嫌いじゃなかった。

一口で口いっぱいに酸っぱさが広がって、好きな人と一緒にいるだけで気持ちが胸一杯に広がるあの感じに似ていて、私はひそかに青春キャンデーと名づけたの。

私以外誰も知らないけどね。

毎日が幸せだった。

雨が降った時は格別に。

いつだって幸せな日は長く続いてほしいもの。

毎日がずっとこんな感じでいればいいのに。

そう思っていたわ。

だけどうまくいかないのが現実。

あの時、彼があんなことをしなければきっとこの幸せは永遠に続いたはずなのに…。
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