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待ち合わせなんて恋人みたい。
本当は違っても、もしかしたらそういうふうに見えるかもって考えるとドキドキした。
恋愛中はバーチャル感がつきまとう。
いろんなことを妄想しては照れたり怒ったり忙しかった。
「傘って変な道具だよね」
私を現実の世界に戻したのは彼の一言。
いつの間にか彼との帰り道を歩いていて、朝と同じくいつもと違う感じに何かを妄想していたところだった。
「変?」
「あったら邪魔だけど、でもなかったら困るでしょ?」
「?」
彼は時々私に考える時間を作るような言い方をする。
朝も確か私に疑問の時間を与えていた。
「家から駅まで屋根のある所を歩くから傘は不要なんだ。傘を使わないから持っていたって仕方ないでしょ?」
「わざと屋根の下を歩いてるってことですか?」
「商店街を通るんだ。あそこは全体的に屋根があるから濡れないんだよ」
「へー」
「でも駅を降りてから気づくんだ。駅から学校までは傘が必要だって。屋根、ないからね」
「ぷっ」
「笑うなんて失礼だな」
そっか、彼は家から駅まで濡れることがないからよく傘を忘れるんだ。
私は家の外を出ると屋根はないし、屋根がある商店街は通らない。
だから雨が降っているとすぐに傘が必要になる。
「駅に着くまでは不要だけど、駅を出てからは必要になる。あったら邪魔だけど途中から困る」
「濡れなくても雨降ってたら傘持ってくればいいじゃないですか」
「そうなんだけど、電車に乗ってる間に止むんじゃないかって思えてね」
「それで持ってこないんですか」
自業自得とわかっていつつ行動を改めないなんて生徒会長らしからぬ行為…。
でも特に注意しようとは思わなかった。
だってこのままだったら、また今日みたいに行きも帰りも彼とあいあい傘ができるわけだから。
本当は違っても、もしかしたらそういうふうに見えるかもって考えるとドキドキした。
恋愛中はバーチャル感がつきまとう。
いろんなことを妄想しては照れたり怒ったり忙しかった。
「傘って変な道具だよね」
私を現実の世界に戻したのは彼の一言。
いつの間にか彼との帰り道を歩いていて、朝と同じくいつもと違う感じに何かを妄想していたところだった。
「変?」
「あったら邪魔だけど、でもなかったら困るでしょ?」
「?」
彼は時々私に考える時間を作るような言い方をする。
朝も確か私に疑問の時間を与えていた。
「家から駅まで屋根のある所を歩くから傘は不要なんだ。傘を使わないから持っていたって仕方ないでしょ?」
「わざと屋根の下を歩いてるってことですか?」
「商店街を通るんだ。あそこは全体的に屋根があるから濡れないんだよ」
「へー」
「でも駅を降りてから気づくんだ。駅から学校までは傘が必要だって。屋根、ないからね」
「ぷっ」
「笑うなんて失礼だな」
そっか、彼は家から駅まで濡れることがないからよく傘を忘れるんだ。
私は家の外を出ると屋根はないし、屋根がある商店街は通らない。
だから雨が降っているとすぐに傘が必要になる。
「駅に着くまでは不要だけど、駅を出てからは必要になる。あったら邪魔だけど途中から困る」
「濡れなくても雨降ってたら傘持ってくればいいじゃないですか」
「そうなんだけど、電車に乗ってる間に止むんじゃないかって思えてね」
「それで持ってこないんですか」
自業自得とわかっていつつ行動を改めないなんて生徒会長らしからぬ行為…。
でも特に注意しようとは思わなかった。
だってこのままだったら、また今日みたいに行きも帰りも彼とあいあい傘ができるわけだから。
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