*いにしえのコトノハ*2 レインドロップス

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翌日。

いつもと変わらない満員電車の地下鉄。

ただ1つ異なるのは、生徒会長の姿を探すようになった私。

毎日電車を利用する人ならわかるかもしれない。

1度「この時間」と決めると電車の時間を中心に生活スタイルが決まるの。

だから朝乗る電車の時間は決まって一緒。

変わることがあるとすれば自身が遅刻しているか、電車自体が遅れているかのどちらか。

そういう考えでいくと、彼もあの時間の電車をいつも利用すると思ったのよ。

降りる駅で電車を出た後、制服姿の彼を探したわ。

でも同じ駅で降りる学生なんてたくさんいるし、みんな後ろ姿でいちいち顔を確認できない。

時々邪魔するかのようにサラリーマンが視界を横切るしね。

人を探していても結局私は身だしなみを整える為にトイレに行くし。

だってあり得ないじゃない?

満員電車でもみくちゃにされた姿で登校なんて。

寝起き姿で登校しているようなものよ。

もしそんな姿で彼を見つけたとしても、恥ずかしくて声はかけられない。

外見だけで人は判断できないって言うけど、どうしたって外見がまず目につくでしょ?

中身なんて二の次なのよ。

自意識過剰になりがちな思春期っ子は見た目を良くすることに忙しいの。

私の行動は間違っていない。

ただトイレから出てきて改札口で待つ彼の姿を期待はしたわ。

でも雨も降っていないのに雨宿りしているはずはなく、いつものように誰もいなかった。

いつもはこの誰もいない改札口をすがすがしく思うのに、昨日あんなことがあったから少し淋しく思った。
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