Do as you would be done by!!

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まずは近づいて挨拶です。

すると、エイチはオレの存在に気づいてこちらに振り向き、挨拶を返してくれました。

つかみはＯＫです。

そして話が途切れないように、いきなり

「今日はバレンタインデーだね」

といった内容を持ち出しました。

実はこの内容は今までタブーでした。

バレンタインデーに今日がバレンタインデーであることを言ってしまうと、チョコを催促しているも同然です。

貰えないとわかっているのに、あえてその話題に触れるのは格好悪い。

そして

「オウミ君の分（だけ）はないの」

などと言われると、さらに格好悪い。

格好良さを大事にしがちな男にとって、それはしてはならないこと以上の何ものでもなかったのです。

しかしあえて今日それをしているのは、いつもと違うバレンタインデーにしようという意図からです。

貰う側には貰えない恐怖から避けたくなる話題ですが、渡す側には今日は何の日か相手に知っておいてもらわないと意味がない上に困るのです。

そんなわけで、今日がバレンタインデーであることを強調するような一言を入れてみました。

エイチはやはり女の子、そんなの知ってて当たり前。

もちろん

「そうだね」

という肯定文が返ってきました。

どこぞのモテ男のように、知っているくせに

「え？そうだっけ？」

ということは言いません。

人は素直なのが1番です。