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翌日。

いつも通りのいつもの朝。

上靴に履き替え、教室へと向かういつもと何も変わらない日常。

階段を上って1番近くにあるおれの教室。

いつも通りの声が聞こえてくる。

キャーキャー騒いでいる女子の声と、少し控えめに話す男子の声と・・・。

「おーっス」

教室の扉を開いて中にいるクラスメイトに声をかけると、ぽつぽつと挨拶の言葉を返して女子はまたひゅうまの方に向き直る。

ひゅうまの机の上には今日も羊毛フェルトで作った小物が散らばっていた。

これも相変わらずだ。

ドッヂボール大会の前と後とで何も変わらない。

変わったものがあるとしたら、おれの気持ちだ。

おれはひゅうまの机に近づいた。

それに気づいた女子達がすぐ警戒態勢に入る。

半年前、言い合いをしたからだ。

ひゅうま派の女子達におれは敵視されている。

「何よー、のぶくん。またひゅうまくんに何か言う気?」

「いやなこと言うならあっち行って」

女子達が口々に言うのも気にしないで、おれはひゅうまを見た。

ひゅうまは困った表情を見せている。

まーた言葉に詰まってんのかよ。

ま、この状況じゃ何を言えばいいのかなんて、判断できないのも事実だけど。

おれはひゅうまがこれ以上困らないように、自分から声をかけた。

「あのさー、今度お守りみたいなやつ作ってくれよ」

おれが声をかけると、女子達はすぐに黙り込んだ。

女子のこういう空気を読んでくれるところは好きだ。

「ドッヂボール大会で相手のこうげきから守ってくれるやつ」

おれがさらにそう付け加えると、一泊置いてひゅうまはうなずいた。

「わかった。のぶせんようのお守り、作って持ってくる」

ひゅうまがそう返すと、女子達は一気に騒ぎ立てた。

「えー、何それ。何でのぶくんだけー?」

「ずっるーい!」

「この前あんなにひどいこと言ったのにー」

「ひゅうまくん、のぶくんなんかに作らなくていいよー」

「っていうか、さっきのぶって言った!?」

自分のことでもないのにこんなに騒げる女子って変わってるなーと思う。

でも声に出しては言わない。

言ったらもっとうるさくなるとわかっているから。
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