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あんなやつ、最初から放っておけば良かった。

女子に囲まれて、守られて、自分では何もできないやつ。

きっと一緒に特訓したって強くなれっこない。

校庭に出ると、先に教室を出たクラスメイト達が陣地を作って球を投げ合っていた。

「よーし、ひゅうまなんて放っておいて、おれ達だけでも強くなって秋はゆうしょうしようぜ」

「おー!!」

おれ達の団結は強い。

気合いを入れるとすぐに、特訓と化した練習試合が始まった。

それからおれ達の特訓は毎日続いた。

と言っても特訓をしていたのは最初の数日だけで、その後はただの遊びと化していた。

ひゅうまは結局1度も参加することがないまま、相変わらず女子と一緒に雑貨で盛り上がっているだけだった。

初めて大会が行なわれた春はあっという間に過ぎ、暑い夏がやってきたかと思えば夏休みもすぐに過ぎ去って、過ごしやすい秋が来た。

2回目のドッヂボール大会が行なわれる秋。

特訓はバッチリしてきたし、リベンジと言うのにふさわしい大会になりそうだ。

「はい、ではTシャツとゼッケンを配るから、春のように縫い付けてもらってくれよー」

先生がそう言って、真っ黒のTシャツと番号の書いたゼッケンを配り始めた。

春の大会の時に配られた時と同じ物だ。

ゼッケンの番号は出席番号。

おれの出席番号は7番だから、ゼッケンの番号も7だ。

ドッヂボールのコートはA、Bと名づけられており、球が当たると

「Aコートの7番、アウトー」

というように先生が告げる。

審判役の先生が判断しやすいために、このゼッケンが活用されている。

それをTシャツに縫い付けるのがドッヂボール大会前の決まりだった。
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