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なっちゃんの方をちらっと見ると目が合った。

お互いに何か言いたいような表情を見せるけど、でも『私は悪くない』という変なプライドが邪魔をして、結局話をすることもなく、なっちゃんは先に教室を出た。

私とは別の、帰り道が途中まで一緒のクラスメイトと共に。

「あれ?うみちゃん、今日はなっちゃんと一緒に帰らないの?」

何も知らないクラスメイトが1人になった私を見て声をかけてくる。

嫌みで言ったわけじゃない。

彼女は何も知らない。

私達の間にある不穏な空気はみんなには知られていないはず。

だから私も笑って答える。

「今日はなっちゃん、別の子と帰るからって」

言いながら胸がチクチクしてきた。

たかがこんなことくらいで。

今から走っていって私も一緒に帰るって言おうか?

それで昨日はごめんねって謝ろうか?

でも朝からかなり時間は経っているし、今さらって感じがする。

朝言えば良かった言葉を言わずに黙っていたから今になって言い出せない。

ひどくもどかしかった。

結局行動を起こす勇気が出ないまま、少し時間を空けて教室を出た。
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