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予鈴が鳴る前の朝のざわついた教室内。
通学鞄から机に教科書を移し変えようとする途中で、クシャッという音が聞こえて、教科書をそのまま机の上に置き直した。
机の中を覗き込むと、クシャッという音をさせた紙が1枚入っていた。
正方形型の・・・ふせん?
上部裏面にだけ糊が付いていて、机の中に貼り付けられている。
それをそっと剥がして取り出した時、ざわついていた教室内の音が一瞬止んだ。
実際音は止んでいないけど、自分の中で一瞬時が止まった。
『ありがとう』
たった一言書かれたそのふせんには差し出し名が書かれていなかった。
だけど誰が書いたのかは聞かなくてもわかっていた。
あまの こうた君。
自然と目が彼の席を追いかけている。
こうた君は席にはいなかった。
教室内・・・に姿が見えない。
これがこうた君からだとわかる理由は2つある。
1つは字。
小学校高学年の時に、私とこうた君は同じ書道教室に通っていた。
だからこうた君の字の特徴はよく覚えている。
私より上達が早くて字がうまいのは悔しいのだけど、『う』の字だけどうしても先生の言う通りに書けないみたいだった。
二画目をきちんとはらいましょうと言われても、『か』の一画目のように左上にはねていた。
『ありがとう』の『う』が。
通学鞄から机に教科書を移し変えようとする途中で、クシャッという音が聞こえて、教科書をそのまま机の上に置き直した。
机の中を覗き込むと、クシャッという音をさせた紙が1枚入っていた。
正方形型の・・・ふせん?
上部裏面にだけ糊が付いていて、机の中に貼り付けられている。
それをそっと剥がして取り出した時、ざわついていた教室内の音が一瞬止んだ。
実際音は止んでいないけど、自分の中で一瞬時が止まった。
『ありがとう』
たった一言書かれたそのふせんには差し出し名が書かれていなかった。
だけど誰が書いたのかは聞かなくてもわかっていた。
あまの こうた君。
自然と目が彼の席を追いかけている。
こうた君は席にはいなかった。
教室内・・・に姿が見えない。
これがこうた君からだとわかる理由は2つある。
1つは字。
小学校高学年の時に、私とこうた君は同じ書道教室に通っていた。
だからこうた君の字の特徴はよく覚えている。
私より上達が早くて字がうまいのは悔しいのだけど、『う』の字だけどうしても先生の言う通りに書けないみたいだった。
二画目をきちんとはらいましょうと言われても、『か』の一画目のように左上にはねていた。
『ありがとう』の『う』が。
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