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姉ちゃんは学校を卒業してもう立派な社会人だけど、まだこんなキャラクターグッズに心が揺れる幼心が残っているようだ。

「姉ちゃんのノート、ふせんでいっぱいだね」

改めて見なくても姉ちゃんのノートはふせんでいっぱいだった。

「何でこんなにふせんを貼る必要があるの?」

僕にはそもそもふせんの使い方がよくわからなかった。

ノートに重要なことを記したければ色ペンで強調したり、欄外に書き込んだりすればいいと思う。

「ふせんはね、心の声よ」

姉ちゃんは堂々とよくわからないことを言い始めた。

「心の声って?」

「口に出せないことを書くのよ。言わば言いたいけど口に出せない一言用よ」

「ノートって元々口に出せないことを書くんじゃないの?」

「ノートは要点をまとめたものでしょ?それに対しての一言よ」

その一言がどうしてふせんで記さないといけないのかがわからない。

姉ちゃんは高校を卒業した後は専門学校に入学したけど、それも卒業して今は地元の企業に勤めている。

でもそこで何かの資格を取る為に勉強していて、このノートはその勉強の内容をまとめたものなのだ。

もちろん僕が思うように、大事な部分には文字を色ペンで囲っていたり線を引いたりもしている。

さらにふせんも貼っているせいで、姉ちゃんのノートはとても派手な作りになっている。

「ふせんって取れない?一部しか糊が付いてないから」

「こうたー、いいところに気づいたわねー」

姉ちゃんは急に大声を出したと思ったら、僕の頭をぐりぐり撫で回した。
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