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「どうして?今年はセントラルシティーに行きたいって言ってたじゃない」

セントラルシティー、国内最大級の遊園地だ。

確か、昨年改修工事が行なわれて、当初より規模が大きくなったと聞いた。

私が学生の頃からある遊園地で、私も行ったことはある。

歴史がある分古くて、でもそれは昨年の改修工事でカバーできているのだろう。

そんなセントラルシティーにはずっと行きたいと孫たちが言っていたのはよく覚えているので、孫たちの意見には不思議に思った。

もしかしたら今日私が孫たちに黙って行ったものだから、急に行きたくなったのかもしれない。

「セントラルシティーじゃなくて、ベジタブルランドでいいの?」

「うん」

「どうして?」

「だって」

娘と孫のやり取りに、その場から動けなくなってしまった。

少し夜風に当たるつもりだったのに、これでは余計に眠れなくなってしまいそうだ。

「ばぁばが」

私が・・・?

出てきた自分の名前に身が固くなる。

私が連れて行ってくれなかったから・・・?

嫌な予感が胸をよぎる。

「ばぁばがかわいそうだから、いっしょにいってあんないしてあげたいんだもん」

「ばぁば、なかにはいれることしらなかったんでしょ?」

「・・・・・・」

確かに私はベジタブルランドを遊園地だとは思っていなくて、撮影スポットになっているあの門を開けて中に入れることを知らなかった。

だから真実を知ってショックだったのだけど・・・。
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