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「へー、本当にベジタブルランドに行ってきたんだー」
孫たちがおとなしくなった間にお菓子を戸棚に隠していた娘が、戻ってくるや否やデジカメを覗き込んで呟いた。
「お菓子だけ買ってきたのかと思ってた。駅にお土産売り場、あるわよね?」
「お土産は駅で買ったわよ」
「そうなんだ。ベジタブルランドで買ったら荷物になるもんね」
「そうじゃなくて、ベジタブルランドにお土産は売ってなかったわよ。ポップコーンしかなかったわ」
「え?」
門の近くにあった屋台を思い出してみる。
屋台にはポップコーンの張り紙がしてあるだけで、それ以外も売っているなんてことはなさそうだった。
「お母さん―――」
「ばぁばー」
娘が何か言いかけたのと、孫たちが声をかけたのがほぼ同時だった。
私は娘に一瞥をくれてから孫たちの方に近寄った。
「ばぁば、なーすひめとはいっしょにおしゃしんとってないの?」
ナース姫はパンプキン城にいるという設定のお姫様の名前だ。
ナスビのような紫色のドレスを着ている。
「ナース姫はいなかったのよ」
「うそだぁ。ぱんぷきんじょうのなかにいるのに」
普段はそういう設定だが、パンプキン城の中には入れないのだから会うことはできない。
「じゃあぶろっこりんずは?」
ブロッコリンズは姫の周りにいる小人たちだ。
「ブロッコリンズも見てないわねぇ」
「えーうそー。ばぁば、ほんとうにべじたぶるらんどにいってきたのー?」
「行ってきたわよ。ちゃんと写真に写ってるじゃない」
「だってなーすひめやぶろっこりんずはいないんだもん」
「そりゃこの門の所にはいないわよ」
パンプキン城は門から見ても遠くにある。
そこにいると噂される姫たちと会うには距離が遠すぎる。
孫たちがおとなしくなった間にお菓子を戸棚に隠していた娘が、戻ってくるや否やデジカメを覗き込んで呟いた。
「お菓子だけ買ってきたのかと思ってた。駅にお土産売り場、あるわよね?」
「お土産は駅で買ったわよ」
「そうなんだ。ベジタブルランドで買ったら荷物になるもんね」
「そうじゃなくて、ベジタブルランドにお土産は売ってなかったわよ。ポップコーンしかなかったわ」
「え?」
門の近くにあった屋台を思い出してみる。
屋台にはポップコーンの張り紙がしてあるだけで、それ以外も売っているなんてことはなさそうだった。
「お母さん―――」
「ばぁばー」
娘が何か言いかけたのと、孫たちが声をかけたのがほぼ同時だった。
私は娘に一瞥をくれてから孫たちの方に近寄った。
「ばぁば、なーすひめとはいっしょにおしゃしんとってないの?」
ナース姫はパンプキン城にいるという設定のお姫様の名前だ。
ナスビのような紫色のドレスを着ている。
「ナース姫はいなかったのよ」
「うそだぁ。ぱんぷきんじょうのなかにいるのに」
普段はそういう設定だが、パンプキン城の中には入れないのだから会うことはできない。
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