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19.起床

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起床





____コンコン


朝の光が差し込むエティーナの部屋に、ノックが響き、その後に扉が開かれる。そこからひょっこり姿を現したのはエティーナの専属メイドであるルルネだ。
彼女は部屋に入ってきて早々に、エティーナのそばにいる男性に気づく。

「お嬢様!おはようございま、...きゃあああ!!!」

「...ん?ルルネ...?」

「おっ、お嬢様...!?そ、その方は...何を...?」

「ああ、これね。...いい?ルルネ。これは、





_____赤ちゃんよ。」

















「うむ!!美味い!!伯爵家のシェフは天才だ!!俺はこう見えて偏食家なのだが、ぱくぱく食べられるぞ!!」

「ルーカス様、お口にソースが。」

ルーカスがそばにいた伯爵家の執事に口元を拭われる。これで三回目だ。

「ああ、すまない。しかし、それにしてもうまい。どうしてこんなに俺の好みのものばかりが並んでいるんだ?」

「エティーナお嬢様からの指示です。」

「そうか!!君が考えてくれたのか!!そりゃあ美味いわけだ!ありがとう!」


ぐっすり寝たルーカスは昼に目を覚ました。エティーナは既にルシエルに約束していた授業をしていたため、知らなかったのだがルーカスは目覚めて一発目にエティーナを探していたらしい。

そして屋敷中を走り回りエティーナを見つけるや否や抱きついて泣き始めたのだった。
なんでも、「君が死んでしまったのかと思った。」と言っていたが、夜にした話が若干トラウマになってしまっているらしい。

ルシエルはなんとか誤魔化して、今は昼食を食べている。
ちなみにルーカスに用意した料理は所謂お子様セットだ。

「(赤ちゃん...ではなく、雛ガモ...?いややっぱり赤ちゃん...?)」

「うん?ヒナガモとはなんだ?君の好きなものか?」

口いっぱいに食べ物を詰めたルーカスが一応行儀良く全てを飲み込んでから、エティーナにそう尋ねる。
体に悪いのなら指輪は付けなくていい、とエティーナが決めたため、今のルーカスには目を見なくとも心の声が全て漏れている状態だ。

そしてそのキラキラとした瞳を眩しく思いながら、エティーナは心を平静に保ちながら答えた。

「そうね、可愛いから好きよ。」

「じゃあ今度持って来てやるからな!」

「いいえ、いらないわ。」

「そ、そうか...。」

「私はスイーツの方が好きよ。」

「っ!分かった!!沢山買ってくる!!」

「ええ、楽しみにしているわ。」

「ねえさま、あまいものすきですか...?」

「ええ。今日のおやつは一緒に食べましょうね、ルシエル。」

「はい!」

「あっ、ず、ずるいぞ!!俺も混ぜてくれ!!俺も食べる!!仲間外れは嫌だ!!」

「...................。」

幼稚園児のような駄々の捏ね方をするルーカスをルシエルが可愛い笑顔のまま見つめる。その瞬間、周囲の空気が少し冷えた。

「...ルーカスせんせい?ごごのじゅぎょう、たのしみにしていますね?(さっきも姉様に抱きついていたし、隙を見て追い出そう。)」

「追いっ!?...あ、あぁ。まかせろ!君を立派な魔法師にしてやる!...だから、俺も一緒にお菓子を食べていいか...?」

「...いいですよ。」

ルシエルはルーカスが心を読めると知っているが、元来の性質なのかコントロールが上手く、隠したいものはちゃんと隠し、むしろルーカスにだけ聞こえる威圧として心の声を活用していた。
ルシエルが居る限り、エティーナとルーカスの距離はそう簡単には縮まらないだろう。

だがそんな事には気づかないルーカスは今日3人でおやつを食べられる事に喜んで、また食事を頬張っていた。

「...ルシエルの方が年上に見えるわ。」

「...ぼくも、そうおもいます。」

二人は生暖かい目で25歳男性魔法師を見つめた。


















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