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知らない人がいるとエレベーターってすごく長く感じる。でも先生と一緒に乗るエレベーターはものすごく短い。そんな長いようで短い時間は終わり、音を立ててエレベーターは精神科のある5階に止まった。
チーン
「稲場さん、どうぞ。」
そう言って先生は必ず開くボタンをずっと押してくれる。
最初は先生が先に降りていたけど、一度だけ俺が人が怖くてエレベーターから降りれなくなった時があった。その時は本当に逃げ出したくなって、先生に腕を掴まれてなだめられるまでうずくまっていた。
その日を境に、先生は必ず俺より後に乗って、俺より後に出るのだ。
ー患者に逃げられたら面倒だもんな…
「あ、ありがと」
大きな病院だからか、精神科にも人が結構いる。みんな下を向いていたりスマホをいじったりしていて、俺のことなんか見ていないってわかっていても足が震える。
立ち止まった俺の背中に、先生は手を添えた。
トン
その大きい手がなんだが安心する。
「先生、いこ」
エレベーターから少し歩くと受付があり、先生は俺の代わりに受付をしてくれた。
「すいません、診察予定の稲場です。」
栗原が少し微笑みそういうと、受付にいた看護師は少し顔を赤らめた。
「は、はい。稲場さんですね。えっと、付き添い…の栗原先生もご一緒ですか?」
「はい」
「かしこまりました。それでは呼ばれるまであちらでおかけになって待っていてください。」
翔太は受付をしていた栗原と看護師を見つめていた。
ーこの看護師さんだったら、先生と並んで歩いても違和感なんてないんだろうな。
背が高くて、サラサラの黒髪の先生。かけている細いフレームの眼鏡は、より先生の色気を増す。看護師さんが赤くなってた。きっと先生に見惚れていたんだろうな。ものすごくわかる。俺も先生に見惚れちゃうから。
頬を赤らめて話す女の子は可愛い。看護師さんも可愛かった。少し巻かれた茶色い髪の毛は後ろで一つにまとめられていて、しっかりとカールされた睫毛からはぱっちりとした目がのぞいていた。
女の子は可愛くて羨ましい。きっと先生が好きになる女の子も、可愛らしい人なんだろうな。
「ーなばさん、…稲場さん?」
ふとどうしたのというように俺の顔を覗き込む先生と目が合った。
「…あ!ご、ごめんなさい、、、少しぼーっとしてただけ」
「そう?ならいいんだけど」
くすっと笑って先生は俺の手をとり、椅子まで誘導してくれた。
いけないいけない、あまり考えすぎると自分の世界に行っちゃう。周りが見えなくなって、先生に迷惑かけちゃうからちゃんとしなきゃ。
グイっと引っ張るように、先生は俺の手を引き椅子に座らせた。そしてゆっくり隣に座ると口を開いた。
「ねぇ稲場さん。今日は本当にどうしたの?」
あっと思った。
「あ、ごめんなさ、」
「謝ってほしいわけじゃないんだよ。理由を答えてほしいの。それとも俺じゃぁ、頼りないかな?」
違う、そんなんじゃない。先生にはすごく、いっぱい助けてもらってる。すごく感謝してる。でも違うの。俺が先生を好きになっちゃったから。余計なことを考えてしまう。
「ちが、ちがう、、」
じわぁっと涙が滲んでくる。泣いちゃいけないと思うほど、涙が溢れてしまう。
「あ、ごめん!責めたいわけじゃないんだ、ただ力になりたいだけなんだよ…!」
ー知ってる。だから苦しい。
泣いてしまった翔太に栗原は戸惑っている。そんな二人を「はぁ」と溜息を吐きながら、気だるげそうに男が声をかけた。
_____________
お久しぶり(?)です。思ったより専門学校とバイトの両立が忙しいのとで、なかなか続きをかけていませんでした(´;ω;`)
チーン
「稲場さん、どうぞ。」
そう言って先生は必ず開くボタンをずっと押してくれる。
最初は先生が先に降りていたけど、一度だけ俺が人が怖くてエレベーターから降りれなくなった時があった。その時は本当に逃げ出したくなって、先生に腕を掴まれてなだめられるまでうずくまっていた。
その日を境に、先生は必ず俺より後に乗って、俺より後に出るのだ。
ー患者に逃げられたら面倒だもんな…
「あ、ありがと」
大きな病院だからか、精神科にも人が結構いる。みんな下を向いていたりスマホをいじったりしていて、俺のことなんか見ていないってわかっていても足が震える。
立ち止まった俺の背中に、先生は手を添えた。
トン
その大きい手がなんだが安心する。
「先生、いこ」
エレベーターから少し歩くと受付があり、先生は俺の代わりに受付をしてくれた。
「すいません、診察予定の稲場です。」
栗原が少し微笑みそういうと、受付にいた看護師は少し顔を赤らめた。
「は、はい。稲場さんですね。えっと、付き添い…の栗原先生もご一緒ですか?」
「はい」
「かしこまりました。それでは呼ばれるまであちらでおかけになって待っていてください。」
翔太は受付をしていた栗原と看護師を見つめていた。
ーこの看護師さんだったら、先生と並んで歩いても違和感なんてないんだろうな。
背が高くて、サラサラの黒髪の先生。かけている細いフレームの眼鏡は、より先生の色気を増す。看護師さんが赤くなってた。きっと先生に見惚れていたんだろうな。ものすごくわかる。俺も先生に見惚れちゃうから。
頬を赤らめて話す女の子は可愛い。看護師さんも可愛かった。少し巻かれた茶色い髪の毛は後ろで一つにまとめられていて、しっかりとカールされた睫毛からはぱっちりとした目がのぞいていた。
女の子は可愛くて羨ましい。きっと先生が好きになる女の子も、可愛らしい人なんだろうな。
「ーなばさん、…稲場さん?」
ふとどうしたのというように俺の顔を覗き込む先生と目が合った。
「…あ!ご、ごめんなさい、、、少しぼーっとしてただけ」
「そう?ならいいんだけど」
くすっと笑って先生は俺の手をとり、椅子まで誘導してくれた。
いけないいけない、あまり考えすぎると自分の世界に行っちゃう。周りが見えなくなって、先生に迷惑かけちゃうからちゃんとしなきゃ。
グイっと引っ張るように、先生は俺の手を引き椅子に座らせた。そしてゆっくり隣に座ると口を開いた。
「ねぇ稲場さん。今日は本当にどうしたの?」
あっと思った。
「あ、ごめんなさ、」
「謝ってほしいわけじゃないんだよ。理由を答えてほしいの。それとも俺じゃぁ、頼りないかな?」
違う、そんなんじゃない。先生にはすごく、いっぱい助けてもらってる。すごく感謝してる。でも違うの。俺が先生を好きになっちゃったから。余計なことを考えてしまう。
「ちが、ちがう、、」
じわぁっと涙が滲んでくる。泣いちゃいけないと思うほど、涙が溢れてしまう。
「あ、ごめん!責めたいわけじゃないんだ、ただ力になりたいだけなんだよ…!」
ー知ってる。だから苦しい。
泣いてしまった翔太に栗原は戸惑っている。そんな二人を「はぁ」と溜息を吐きながら、気だるげそうに男が声をかけた。
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お久しぶり(?)です。思ったより専門学校とバイトの両立が忙しいのとで、なかなか続きをかけていませんでした(´;ω;`)
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