彼氏に性欲処理にされてた受けが幸せになるまで

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 真っ暗な部屋でゆらゆら浮いてる。ドアも窓もない。

『あ、あいつ?恋人じゃねーよwただの性処理』

--俺はただの性処理、〝オナホ〟。

 不思議と悲しくはなかった。
 そりゃあちょっとはズキンと胸が痛くなったよ。でも、性欲処理としてでも彼の隣にいれたのが嬉しかった。

『夜、行く。』

--やった!今日も俺が選ばれた!!

 数人いるであろう、彼の性欲処理係。見たこともない相手に嫉妬して、セックスの相手に俺を選んでくれた彼に感謝する毎日。
 これでもいい。

 彼との関係は続く。

 俺が不満を言わない限り続く。
 俺がわがままを言わない限り続く。
 俺が甘えない限り続く。

 ずっと続くんだ。

 そう思っていたのに。終わりは突然。

『彼女妊娠したからもう終わりね』

 本命がいるんだろうとは思ってた。でもこんなに早く終わるなんて。

『にん、し、ん』

--妊娠。

 妊娠が憎い。女の子が憎い。子宮を持っているのが羨ましい。
 女の子は全部持ってるのに、奪っていく。

 男から守られる華奢な身体。
 ふわふわな髪の毛。
 触り心地のいい胸、お尻。
 自然と濡れるアソコ。

 いいなぁ、いいなぁ。

 初めて男を好きになった時から思ってた。いいなぁって。俺が女の子だったら好きになっても良かったのかなって。ずーーーーっと思ってたよ。

 でも俺は女の子じゃないから。

 身体は硬いし
 髪の毛はかたいし
 胸もお尻も柔らかいわけじゃない。

 受け入れるためにきれいに洗って人工的に濡らす。そこに愛はあるのかな
 これじゃほんとにただのオナホだ。



 あぁ、もう真っ暗。

 前も後ろも、右も左も分かんない。
 俺は何なのかすらわかんない。



 俺も愛されたい。

 好きって言いたい。

 辛い。



『…ばさん、いな、ば、さん、稲場さん』



 突然優しい声に包まれた。部屋はくらいままなのに声が聞こえると少し明るくなった気がした。

『稲場さん』

 呼ばれてる。大好きな声。

『お前男じゃんw』

『稲場さんはよく頑張ったよ。』

 怖い声と優しい声に挟まれてる。怖い声を聞くと首元がゾワゾワする。だから嫌だ。
 優しい声は心がふわふわする。だから好き。

 優しい声の方に行ってもいいのかな。俺、出来損ないだけど、幸せな方を選んでもいいのかな。

 優しい声に会いたい。

--せん、、せい。

 俺の話を聞いてくれた人。俺を引っ張ってくれた人。俺を肯定してくれた人。俺に優しい人。

--先生に会わないと。

 ここから出たい、強くそう思った。

『身体の力を抜いて…、そう、目をゆっくり開けるんだよ。』

 いつだがの先生の声。記憶を辿って先生の声に従う。

--力を抜く、目を、ゆっくり。

 真っ暗な部屋で浮いている身体。力を抜くのは落ちちゃいそうで少し怖い。それでもスーっと力を抜いていく。

『稲場さん、稲場さん』

 さっきより鮮明に聞こえる声。なんでこんなに心がポカポカするんだろう。

『稲場さん』

--なぁに?

 問いかけに答えるように目を開けた。









ピッピッピッピッ

「せん、せ、い。おはよ」

 目の前には綺麗な黒髪をオールバックみたいに後ろにまとめた先生がいた。先生に手には俺の手がギュッと握られている。

「稲場、さん、」

 あぁやっぱりこの声好きだな。どんな時でも俺を導いてくれる。

「先生、おれ、がんばっておきたよ」

--先生に会うために。

「稲場さん、ありがとう、よく頑張ったね。」

 そう言うと、先生はベッドに横になっていた俺を抱きしめた。

 先生の体温は少し冷たくて、でも手だけはあったかい。安心する体温だった。


 どうしよう、どうしようもなく先生が好きだ。

 俺はまた、ノンケに恋をしちゃったんだ。






━━━━━━━━━━━━━

 お久しぶりですー!更新出来てない間もエールなどありがとうございます(;;)♡
 『お知らせ』を見てくれていた方はご存知だと思いますが、友達が遠くから遊びに来てくれていたため小説をかけていませんでした
 これからはまたのんびりBLを妄想していきたいなって思っているので、これからもよろしくお願いします!





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