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2話(攻め視点①)
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「息子と結婚したら、家を援助しよう」
「…は?」
たった一言だった。たった一言で俺の幸せだった恋人との生活が終わった。
ふざけんな。そんなこと素直に言える立場だったら良かった。俺の父親は小さな会社をやっている。小さな会社と言っても、周りよりはやっぱり裕福で、それなりに上流階級の人たちとも交流があった。
誘われたらランチにだってパーティーにだって行くのだ。
上流階級の人たちにとって、父の会社は所詮成金でしかなくて何を言われても何をされても文句は言えないのだ。それも親会社から言われたら尚更。
事件が怒ったのはあるパーティーでのこと。父の親会社主催のパーティーだった。そんなところから誘われたなら当然断れるはずもなく、招待状に俺の名前も書いてあったことから俺も渋々出席をした。
パーティーは嫌いだった。男性はみんな高そうなオーダーメイドのスーツを着て、女性は華やかな今どきのドレスを身につける。
花よ蝶よと育てられた女性は美しいけど、どこか醜い。自分の黒い部分を見られないように着飾って男に媚びる声が苦手だ。
「初めまして。息子さんに会うのは初めてだな。九条と言います。よろしくね。」
父親と挨拶回りをしていた時に話した人。この人が今回の主催なのか。シワもあって普通におじさんなんだろうけど、どこか若々しくて厳格ながらも優しそうだ。
…そして隣にいるのは…
「は、はじめまして…」
ボソボソっと挨拶をする俺よりも少し背の低い害の無さそうな顔の男。主催の息子だという。その自信のなさそうな顔や態度は、本当に息子か?と疑ってしまいそうになった。
「あぁ、よろしくお願いします。」
どこかでもう会うことはないと思っていた。俺はパーティーが嫌いだし、そもそも俺に招待状が来ること自体が珍しいのだから。
しかし神様は残酷だった。いや、神様がいるなら殴りたかった。
いきなり呼ばれた和風な高級店の個室。出てくるお茶でさえ高いのだろう。そんなところに呼ばれた俺は、何か嫌な予感を感じていた。
なぜ父と共に俺が呼ばれる?しかも相手は親会社の社長。あの時何か気に触ることでもしたか?いや、それならわざわざこんな高級店に呼び出さないだろう。
-ならば結婚の打診…?
あそこは一人息子のはずだから、それはないか。緊張しすぎて変なことばかり考えてしまう。
「いやぁ、すみませんね遅れてしまって。道が少し混んでいまして。」
「あ、失礼しま、す」
障子の戸を開けて少し高そうなスーツを身につけた2人が入ってきた。
「あはは、いやいや」
父も少し緊張しているようだった。無理もないだろう。社長をやっているが小心者の父はちょっとした事でもすぐにストレスになってしまうのだ。
「まぁ、そうだな。単刀直入に言おう。」
心のどこかで
「息子と結婚してくれないか?」
この瞬間が来るって分かっていた。
「は?」
どうして俺なのか、どうして男と男が結婚するのか、そもそも日本は同性同士の結婚は
「戸惑うのも無理もない。結婚というより、息子の生涯のパートナーになって欲しいんだ。」
それを世では結婚と言うじゃないか。
「そうだね。だから結婚してくれないか?息子と。もちろんタダでとは言わないよ。」
〝息子と結婚したら、家を援助しよう〟
それは悪魔の囁きで、ただの小会社でしかない父親の耳にはあまりにも甘すぎる密だった。
その言葉を聞いた時の父親の顔を俺は忘れない。あんなにも貪欲に俺を見ていた。応えはわかっているな、と。
俺は絶望と困惑の中で、ただただ愛する人のことを考えた。
「…は?」
たった一言だった。たった一言で俺の幸せだった恋人との生活が終わった。
ふざけんな。そんなこと素直に言える立場だったら良かった。俺の父親は小さな会社をやっている。小さな会社と言っても、周りよりはやっぱり裕福で、それなりに上流階級の人たちとも交流があった。
誘われたらランチにだってパーティーにだって行くのだ。
上流階級の人たちにとって、父の会社は所詮成金でしかなくて何を言われても何をされても文句は言えないのだ。それも親会社から言われたら尚更。
事件が怒ったのはあるパーティーでのこと。父の親会社主催のパーティーだった。そんなところから誘われたなら当然断れるはずもなく、招待状に俺の名前も書いてあったことから俺も渋々出席をした。
パーティーは嫌いだった。男性はみんな高そうなオーダーメイドのスーツを着て、女性は華やかな今どきのドレスを身につける。
花よ蝶よと育てられた女性は美しいけど、どこか醜い。自分の黒い部分を見られないように着飾って男に媚びる声が苦手だ。
「初めまして。息子さんに会うのは初めてだな。九条と言います。よろしくね。」
父親と挨拶回りをしていた時に話した人。この人が今回の主催なのか。シワもあって普通におじさんなんだろうけど、どこか若々しくて厳格ながらも優しそうだ。
…そして隣にいるのは…
「は、はじめまして…」
ボソボソっと挨拶をする俺よりも少し背の低い害の無さそうな顔の男。主催の息子だという。その自信のなさそうな顔や態度は、本当に息子か?と疑ってしまいそうになった。
「あぁ、よろしくお願いします。」
どこかでもう会うことはないと思っていた。俺はパーティーが嫌いだし、そもそも俺に招待状が来ること自体が珍しいのだから。
しかし神様は残酷だった。いや、神様がいるなら殴りたかった。
いきなり呼ばれた和風な高級店の個室。出てくるお茶でさえ高いのだろう。そんなところに呼ばれた俺は、何か嫌な予感を感じていた。
なぜ父と共に俺が呼ばれる?しかも相手は親会社の社長。あの時何か気に触ることでもしたか?いや、それならわざわざこんな高級店に呼び出さないだろう。
-ならば結婚の打診…?
あそこは一人息子のはずだから、それはないか。緊張しすぎて変なことばかり考えてしまう。
「いやぁ、すみませんね遅れてしまって。道が少し混んでいまして。」
「あ、失礼しま、す」
障子の戸を開けて少し高そうなスーツを身につけた2人が入ってきた。
「あはは、いやいや」
父も少し緊張しているようだった。無理もないだろう。社長をやっているが小心者の父はちょっとした事でもすぐにストレスになってしまうのだ。
「まぁ、そうだな。単刀直入に言おう。」
心のどこかで
「息子と結婚してくれないか?」
この瞬間が来るって分かっていた。
「は?」
どうして俺なのか、どうして男と男が結婚するのか、そもそも日本は同性同士の結婚は
「戸惑うのも無理もない。結婚というより、息子の生涯のパートナーになって欲しいんだ。」
それを世では結婚と言うじゃないか。
「そうだね。だから結婚してくれないか?息子と。もちろんタダでとは言わないよ。」
〝息子と結婚したら、家を援助しよう〟
それは悪魔の囁きで、ただの小会社でしかない父親の耳にはあまりにも甘すぎる密だった。
その言葉を聞いた時の父親の顔を俺は忘れない。あんなにも貪欲に俺を見ていた。応えはわかっているな、と。
俺は絶望と困惑の中で、ただただ愛する人のことを考えた。
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