両片思いカップル。長年の片思いで拗らせ中

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2.好きって伝えたい!(南side)

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(南side)

 初めまして、みなみハルカです。

 僕には小さい時から好きな人がいます。
 幼馴染みの宮田です。僕たちは幼馴染み。幼稚園の頃から家族ぐるみで仲がいい。だから僕は、僕たちの関係を壊したくない。
 

 僕が気持ちを伝えることは一生ないでしょう。


 なんて思っていましたが、

「南へ、放課後校舎裏にきてください…?宮田より…」

 なんと朝学校に来たら靴箱に宮田からの手紙…というか髪の切れ端?が入っていたのだ。

 校舎裏、普通に考えれば告白だよね。でも宮田、男からの手紙だ。告白なわけないか…
 少し期待した自分にガッカリした。

 それから僕は一日中放課後を楽しみに過ごした。クラスが同じなのに放課後まで手紙のことはスルーって笑
 ほんと宮田は可愛いね。

 僕は顔がいい。中学2年生の頃、初めて告白された時に言われたのだ。

『顔が好きなの、付き合ってちょうだい』

 一瞬この人は何を言っているんだって思った。でもその時自覚できた。俺は顔がいいんだって。
 だからありがとう。

 でも

『ごめん』

 顔がいいって理由だけで僕は付き合えない。それに僕はずっと宮田だけが好き。

 今までも、これからも、ずっと。

 告白されたと教えると宮田は羨ましいと言った。「ハルはかっこいいからな!」と。

 でも宮田は気づいていない。自分の魅力に。
 宮田は鈍感だ。女の子から好意を持たれていても気づかないタイプ。
 なのに正義感は強くて、陽キャにも陰キャにも優しい。だから勘違いして宮田を好きになる女の子が、結構沢山いるのだ。それに顔も美形という訳では無いが、普通に整っていてかっこいい。

キーンコーンカーンコーン

 放課後、掃除を終えた僕は校舎裏へ向かった。
 秋の初めとはいい、風が冷たくて肌寒い。

 ジャリッジャリッと砂と靴が擦れる音が響く。そこにサァアアアアと吹く風が緊張を漂わせる。

「宮田…?どうしたの?わざわざ校舎裏になんて呼び出して。」

 短い黒髪をなびかせて立っていた宮田に声をかけた。宮田の顔はすでに真っ赤になって、もじもじと体が震えている。

--もしかして本当に告白…?

 期待をしてしまう。

「お、おれさ、南のことが」

 あまりにも声が震えているから頑張れなんて応援したくなる。ギュッと拳を握りこんでいるからか、手は少し赤く、白くなっていた。

 宮田の緊張が南にも伝わってくる。

ドクッドクッドクッ

 南は次の言葉を期待した。
 「~のことが」なんてテンプレートな文章、告白以外ありえない。

 つり上がった丸い黒い目が僕を見る。


「好きだ。」


 その言葉聞いた瞬間体が動いた。タッと駆け出した僕の足は一直線に宮田に向かう。

 僕も好きだ。僕も好きだ。好きだ。

 全身で宮田に言いたい。

「僕も、宮田が、ヒロキのことが好きだよ」

 ギュウウウウウと宮田を抱きしめながら返事をする。

 僕と宮田は緊張で、そして嬉しさのあまり目には涙が浮かんでいた。


 自分の気持ちを伝えることなんか、一生ないと思っていた。関係を壊すくらいなら言わなくていいって思ってた。でも「好きだ」と伝えても、僕たちの関係なんか壊れなかった。 

 宮田、僕を好きになってくれてありがとう





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