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第23話『ルイス、到着』
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「おじいちゃん! ルイスさんに変なこと言ったら、口きいてあげないから!」
「ハル、なんでウィローとユズさんじゃなくて、私たちが来たと思う?」
ケインが問う。
「……角が立つから?」
「いいや、あの二人じゃ面白くないからだ」
「おもしろ……おばあちゃん、止めて! おじいちゃん、ルイスさんに絶対変なこと言うつもりなのよ」
両手を組み合わせて祖母に訴えるハルニレ。が、祖母は笑って取り合わなかった。
「困ったおじいちゃんねぇ。でもね、ハルちゃん。初めに家族の厄介な人を紹介しておくと、後はすこぶる楽よ」
この調子で連れ添って四十年以上。
祖父の手綱は祖母に握ってもらうしかなかった。
泣きたくなったところへ、ルイスが階段を上ってやってきた。
「こんにちは、ハルニレさん。お客様ですか?」
ここで初めて、玄関先で内輪話をしていたことに気づき、赤面するハルニレ。
「ち、違うんです。あのっ、紹介します。祖父のケインと祖母のホリーです。
……ルイスさんに会いたいって、押しかけてきちゃって」
ハルニレの慌てぶりをなだめるように、ルイスは落ち着いて挨拶した。
「そうでしたか。初めまして、ルイス・ガーデニアと申します。ハルニレさんとは同じ団体、同じ班に所属しております。いつもハルニレさんには確かな技術で班に貢献していただいています」
「まぁまぁ、こちらこそ。いつも孫がお世話になっております」
ホリーがスッと頭を下げる。
ケインは顎を撫でさすって一言。
「失礼、一見なよっとなさっているのに、意外としっかりした方ですね」
正直すぎる印象に、ハルニレがブチ切れる。
「おじいちゃん!!」
「よく言われます。おじいさまのお噂はかねがね……やはり一方ならずユニークなお人柄ですね」
「どういたしまして! 君は私の大好物の予感ですよ」
「それはそれは、光栄です」
ハラハラし通しのハルニレとは裏腹に、何だかウマの合いそうなケインとルイスだった。
「ハル、なんでウィローとユズさんじゃなくて、私たちが来たと思う?」
ケインが問う。
「……角が立つから?」
「いいや、あの二人じゃ面白くないからだ」
「おもしろ……おばあちゃん、止めて! おじいちゃん、ルイスさんに絶対変なこと言うつもりなのよ」
両手を組み合わせて祖母に訴えるハルニレ。が、祖母は笑って取り合わなかった。
「困ったおじいちゃんねぇ。でもね、ハルちゃん。初めに家族の厄介な人を紹介しておくと、後はすこぶる楽よ」
この調子で連れ添って四十年以上。
祖父の手綱は祖母に握ってもらうしかなかった。
泣きたくなったところへ、ルイスが階段を上ってやってきた。
「こんにちは、ハルニレさん。お客様ですか?」
ここで初めて、玄関先で内輪話をしていたことに気づき、赤面するハルニレ。
「ち、違うんです。あのっ、紹介します。祖父のケインと祖母のホリーです。
……ルイスさんに会いたいって、押しかけてきちゃって」
ハルニレの慌てぶりをなだめるように、ルイスは落ち着いて挨拶した。
「そうでしたか。初めまして、ルイス・ガーデニアと申します。ハルニレさんとは同じ団体、同じ班に所属しております。いつもハルニレさんには確かな技術で班に貢献していただいています」
「まぁまぁ、こちらこそ。いつも孫がお世話になっております」
ホリーがスッと頭を下げる。
ケインは顎を撫でさすって一言。
「失礼、一見なよっとなさっているのに、意外としっかりした方ですね」
正直すぎる印象に、ハルニレがブチ切れる。
「おじいちゃん!!」
「よく言われます。おじいさまのお噂はかねがね……やはり一方ならずユニークなお人柄ですね」
「どういたしまして! 君は私の大好物の予感ですよ」
「それはそれは、光栄です」
ハラハラし通しのハルニレとは裏腹に、何だかウマの合いそうなケインとルイスだった。
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