進芸の巨人は逆境に勝ちます!

木mori

文字の大きさ
上 下
71 / 76
第二章

第三十四部分

しおりを挟む
鈍い衝突音がして、ボールはピッチャーの足元にゆるゆると転がり、エロザは拾ったボールを一塁に送った。すでにランナートモヨンは二塁に到達していた。
逆さまのままで、ドヤ顔のナッキー。
「からだを逆さにすると、落ちる球は自分の顔に近づいて来るので、見やすいですっ。」
「ソウイウ、カラクリデシタカ。デモ、マダ点ヲ取ラレタワケデハ、アリマセン。対処ノ方法ハ、イクラデモアリマス。」
一塁手はやや駆け足で、ベースを離れ、外野手になった。そこで足元を踏み込んで、投げた場合の反動に備えている。
それを見たランボウの額に一筋の冷や汗が流れた。
「あれは、ホームに投げる準備十分、つまり、犠牲フライを阻止するためだなあ。トモヨンの足で、ホームに間に合うかなあ?」
そんなランボウを見て、エロザはニヤリとしながら口を開いた。
「アソコ二打タセマス。アソコッテ、変ナ意味ジャアリマセンヨ。」
「わざわざ付け加えると、いやらしくなるだろう!」
ランボウは即座にツッコミを入れたが、その瞬間、フリーズした。
レーザービームが外野手から飛んできたのだ。野手は、守備位置を移動すると、練習球が許される。それがキャッチャーの元に飛んできたのである。そのスピードはエロザの速球を超えていた。ボール軌道の下の土から煙が上っていた。レーザー熱で土が焦げていたのだ。
驚愕している巨人軍ベンチを尻目に、エロザはランボウに投球した。
「コース、スピードハ計算通リデス。」
ニンマリしたエロザの投球は、当てられるぐらいの半速球であり、ランボウは思わずバットが出てしまった。
フラフラと上がったランボウの打球は、外野に飛んだ。外野手は一歩たりとも動くことなくボールをキャッチ、そのままレーザービームを発射した。二塁ランナーのトモヨンは外野手の捕球と同時にタッチアップ。しかし、唸りを上げるレーザービームのスピードに及ばず、レーザービームはキャッチャーミットに驀進している。
「もう、ダメだ。トモヨンさんがアウトになると、ダブルプレーだよ!」
美散は頭を抱えた。
キャッチャーはマスク越しににやけていた。
「もう止まれませんわ!」
トモヨンは目を瞑ってホームベースに向かっていた。
『ボク、ドラエロ悶。ランナー、セーフ。』
美散は落胆の言葉を吐いた。
「あ~あ。負けちゃった。・・・って、セーフ??」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

処理中です...