50 / 76
第二章
第十三部分
しおりを挟む
「本当の体重を彫り物背中に言うわけにはいかないわ。女の子として、それは死んでもやってはいけないわ!」
「外人ガ、イクラ開放的ト言ッテモ、デキナイコトガ、アリマス!」
ふたりともシャコ貝のように口を閉じてしまった。
「よし、腹は決まったようだな。それでは俺の腹と背中に抱きついてくれ。」
「ワタクシがハラキリシマス。」
「アタシが腹わたの中身を取るわよ。」
玲駆の背中は不人気であった。抱かれ心地の違いなのかどうかは不明である。
結局、ジャンケンで智流美がおいしい方をゲットして、ルンルン気分に浸っていた。
「よし、この態勢で橋を渡るぞ。ぜったいに、手を離すなよ。」
「こんないい感触、完食するまで離さないわよ。スリスリ。」
「背中ハ、オイシクナイカト思イマシタガ、コノゴツゴツ感ガ、癖ニナリソウデス。スリスリ。」
「く、くすぐったい!でも俺も不必要な動きをすると、ふたりを離してしまうから、我慢だ。」
ブルブル震えながら、橋の下にぶら下がった玲駆。
「重い!いくらふたりとは言え、女の子って、こんなに重かったっけ?うわーっ、落ちる!!」
「飛行魔法を使うしかないわ!」
「飛翔魔法ヲ実行スルデス!」
「からだが急に軽くなったぞ!」
ふたりは口から大量の空気を吐いたのである。肺活量は膨大なものがあるから、ふたりで三人分(圧倒的重量シェアは女子ふたり)を持ち上げるのは容易であり、そのまま橋の下をしっかりと渡り、見事に池を越えた。
「助かった。しかし、今の揚力はいったいなんだったんだ?」
「「ヒューヒュー。」」
ふたりは素知らぬ顔で口笛を吹いていた。なんとなく、それまでのギスギスした空気とは違う雰囲気が流れていた。
こうして、洞穴の出口までやってきた三人。
しかし、ここにも立札があった。
『これで最後である。三人同時ここに来れたことは奇跡である。しかし、この中日山に伝わる伝説をクリアするためには、ここでカップルを形成する必要がある。つまり、脱出できるのは、ふたりである。ここでは工作は無用である。残されるひとりは、リア充を妨害しても可。』
「これは俺にどちらかを選べということなのか。」
ふたりは黙って頷いた。
「さっきは何かよくわからないけど、到底俺の力ではどうしようもなかったはずだ。ふたりに助けられたような気がする。そんな中で、俺にできるわけない。ふたりで話し合って決めてくれ。ゲタは預けるよ。」
ふたりは顔を見合わせたがすぐに下を向いた。
「外人ガ、イクラ開放的ト言ッテモ、デキナイコトガ、アリマス!」
ふたりともシャコ貝のように口を閉じてしまった。
「よし、腹は決まったようだな。それでは俺の腹と背中に抱きついてくれ。」
「ワタクシがハラキリシマス。」
「アタシが腹わたの中身を取るわよ。」
玲駆の背中は不人気であった。抱かれ心地の違いなのかどうかは不明である。
結局、ジャンケンで智流美がおいしい方をゲットして、ルンルン気分に浸っていた。
「よし、この態勢で橋を渡るぞ。ぜったいに、手を離すなよ。」
「こんないい感触、完食するまで離さないわよ。スリスリ。」
「背中ハ、オイシクナイカト思イマシタガ、コノゴツゴツ感ガ、癖ニナリソウデス。スリスリ。」
「く、くすぐったい!でも俺も不必要な動きをすると、ふたりを離してしまうから、我慢だ。」
ブルブル震えながら、橋の下にぶら下がった玲駆。
「重い!いくらふたりとは言え、女の子って、こんなに重かったっけ?うわーっ、落ちる!!」
「飛行魔法を使うしかないわ!」
「飛翔魔法ヲ実行スルデス!」
「からだが急に軽くなったぞ!」
ふたりは口から大量の空気を吐いたのである。肺活量は膨大なものがあるから、ふたりで三人分(圧倒的重量シェアは女子ふたり)を持ち上げるのは容易であり、そのまま橋の下をしっかりと渡り、見事に池を越えた。
「助かった。しかし、今の揚力はいったいなんだったんだ?」
「「ヒューヒュー。」」
ふたりは素知らぬ顔で口笛を吹いていた。なんとなく、それまでのギスギスした空気とは違う雰囲気が流れていた。
こうして、洞穴の出口までやってきた三人。
しかし、ここにも立札があった。
『これで最後である。三人同時ここに来れたことは奇跡である。しかし、この中日山に伝わる伝説をクリアするためには、ここでカップルを形成する必要がある。つまり、脱出できるのは、ふたりである。ここでは工作は無用である。残されるひとりは、リア充を妨害しても可。』
「これは俺にどちらかを選べということなのか。」
ふたりは黙って頷いた。
「さっきは何かよくわからないけど、到底俺の力ではどうしようもなかったはずだ。ふたりに助けられたような気がする。そんな中で、俺にできるわけない。ふたりで話し合って決めてくれ。ゲタは預けるよ。」
ふたりは顔を見合わせたがすぐに下を向いた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます
Teko
ファンタジー
ある日私は、男の子4人、女の子4人の幼なじみ達が出てくる乙女ゲームを買った。
魔法の世界が舞台のファンタジーゲームで、プレーヤーは4人の女の子の中から1人好きなヒロインを選ぶ事ができる。
・可愛くて女の子らしい、守ってあげたくなるようなヒロイン「マイヤ」
・スポーツ、勉強と何でもできるオールマイティーなヒロイン「セレス」
・クールでキレイな顔立ち、笑顔でまわりを虜にしてしまうヒロイン「ルナ」
・顔立ちは悪くないけど、他の3人が飛び抜けている所為か平凡に見られがちなヒロイン「アリア」
4人目のヒロイン「アリア」を選択する事はないな……と思っていたら、いつの間にか乙女ゲームの世界に転生していた!
しかも、よりにもよって一番モテないヒロインの「アリア」に!!
モテないキャラらしく恋愛なんて諦めて、魔法を使い楽しく生きよう! と割り切っていたら……?
本編の話が長くなってきました。
1話から読むのが大変……という方は、「子どもの頃(入学前)」編 、「中等部」編をすっと飛ばして「第1部まとめ」、「登場人物紹介」、「第2部まとめ」、「第3部まとめ」からどうぞ!
※「登場人物紹介」はイメージ画像ありがございます。
※自分の中のイメージを大切にしたい方は、通常の「登場人物紹介」の主要キャラ、サブキャラのみご覧ください。
※長期連載作品になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる