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第一章
第二十一部分
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「はあ?どうしてだよ。全然意味がわからないよ。ミソとクソに混ぜたら味が引き立つんだよ。」
「それは壮大な化学変化だな。って、そうじゃない。美散は、トモヨンに変化球を投げさせたことで合格なんだよ。それがレギュラーへの一歩を踏み出したということなんだよ。あの変化球は、レギュラーでもなかなか打てるものではない。決め球なんだからな。でもそれだけでは納得できないってツラしてやがるな。じゃあ、今度はマウンドに立て。」
ブツブツ言いながらも美散はトモヨンの隣に並んだ。
「ほら、トモヨンと同時に投げてみろ。」
『ビューン』という轟音と共に、ボールがキャッチャーミットに向けて飛んでいく。トモヨンの球はミットに収まり、美散のは大きく逸れて、バックネットをへし曲げた。その瞬間に花火が爆発したような音がした。ちなみにバックネットの針金の太さは1メートルである。
「え?す、すごい、あたし。こんな速い球が投げられるようになったんだ。」
「美散はトモヨンと同じ球速になったんだ。それだけ基礎体力がついたということだ。この面ではレギュラークラスになってるんだよ。」
「これでレギュラー⁉じゃあ、外出できるんだ!」
「やった!これで外出できる、魔法工房に行けるよ。暗闇に住んでるあたしに、小さな灯火をくれたよ。」
「美散。せっかくテンションを上げかかっているところに水を差すようで悪いけど、魔法工房へ足を踏み入れることは勧められないぞ。」
ランボウからは、いつもの乱暴なオーラは影を潜め、偏差値が高過ぎる受験校へ息子を送り出す母親のような表情になっている。
「あんなところには、行かない方がよろしくてよ。美散さんを谷底へ突き落としたわたくしが言うのはなんですけど、せっかく落ちかけたところをランボウちゃんに救ってもらったのに、自分から毒入りの玉手箱を開ける必要はありませんわ。」
トモヨンも今回はランボウ側についている。
「外出と行っても魔法工房の所在地は、球場から見て、寮の反対側というだけだよ。」
「そんなことはわかってるさ。外出そのものが危険なのではなく、魔法工房に行くことが問題なんだよ。」
ランボウは練習時よりも真剣な表情になっている。
「あたしにはどうしても魔法工房に行かなきゃいけない理由があるんだよ!そのために、練習を頑張ったんだから。後戻りするギアを入れることはないんだよ!」
結局、美散は外出して魔法工房に足を向けた。
「それは壮大な化学変化だな。って、そうじゃない。美散は、トモヨンに変化球を投げさせたことで合格なんだよ。それがレギュラーへの一歩を踏み出したということなんだよ。あの変化球は、レギュラーでもなかなか打てるものではない。決め球なんだからな。でもそれだけでは納得できないってツラしてやがるな。じゃあ、今度はマウンドに立て。」
ブツブツ言いながらも美散はトモヨンの隣に並んだ。
「ほら、トモヨンと同時に投げてみろ。」
『ビューン』という轟音と共に、ボールがキャッチャーミットに向けて飛んでいく。トモヨンの球はミットに収まり、美散のは大きく逸れて、バックネットをへし曲げた。その瞬間に花火が爆発したような音がした。ちなみにバックネットの針金の太さは1メートルである。
「え?す、すごい、あたし。こんな速い球が投げられるようになったんだ。」
「美散はトモヨンと同じ球速になったんだ。それだけ基礎体力がついたということだ。この面ではレギュラークラスになってるんだよ。」
「これでレギュラー⁉じゃあ、外出できるんだ!」
「やった!これで外出できる、魔法工房に行けるよ。暗闇に住んでるあたしに、小さな灯火をくれたよ。」
「美散。せっかくテンションを上げかかっているところに水を差すようで悪いけど、魔法工房へ足を踏み入れることは勧められないぞ。」
ランボウからは、いつもの乱暴なオーラは影を潜め、偏差値が高過ぎる受験校へ息子を送り出す母親のような表情になっている。
「あんなところには、行かない方がよろしくてよ。美散さんを谷底へ突き落としたわたくしが言うのはなんですけど、せっかく落ちかけたところをランボウちゃんに救ってもらったのに、自分から毒入りの玉手箱を開ける必要はありませんわ。」
トモヨンも今回はランボウ側についている。
「外出と行っても魔法工房の所在地は、球場から見て、寮の反対側というだけだよ。」
「そんなことはわかってるさ。外出そのものが危険なのではなく、魔法工房に行くことが問題なんだよ。」
ランボウは練習時よりも真剣な表情になっている。
「あたしにはどうしても魔法工房に行かなきゃいけない理由があるんだよ!そのために、練習を頑張ったんだから。後戻りするギアを入れることはないんだよ!」
結局、美散は外出して魔法工房に足を向けた。
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