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第一章
第八部分
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「そうだ。そして貴様、美散は、ジャイアンツ球団のリザーブ選手だ。リザーブ選手は、レギュラーになるためにひたすら練習に明け暮れるだけの存在だ。他には何も必要ない。」
「ジャイアンツって。あ、あたしがプロ野球選手だなんて、聞いてないよ~。」
「確かにプロ野球選手なんかじゃないな。そんなドリーム特権階級じゃないからな。ここは特別な野球チームが使うドーム球場だし。そんなことより、あたいの打球をどんどん捕るんだよ!」
ランボウは再びノックを始めた。打球のスピードはだんだんと速くなり、美散の頬を掠めた。
「痛~い!」
「痛がってるヒマはないぞ。ほら、これを使え。」
ランボウは美散に野球のグラブを投げつけた。痛さに涙している美散は焦ってグラブを利き手にはめようとする。
「う、うまく入らないよ。これ、どうやって使うんだよ~。」
「バカやろう!貴様は右利きだろう。それは左手にはめるものだ。」
美散は慌ててグラブを左手にはめようとするが、うまくいかない。
「だ、ダメだよ~!」
「ならばこうするしかないな。乱れ打ち~。」
ランボウは続けざまにノックして、矢のようなボールが容赦なく美散を襲う。
「痛い、痛い、痛い!」
亀のようになった美散は、背中をボコボコにされている。
美散の白いユニフォームはあちこちが赤く滲み、美散は傷だらけになっている。
「痛いよ~。誰か助けて!」
「ここはスタジアムだぜ。誰も助けに来るものか。」
攻撃ならぬノックの手を緩めることのないランボウ。
「キャプテン、ちょっと待つのですっ。」
「なんだ、『泣き虫ナッキー』か。邪魔するんじゃねえ。」
「いくらキャプテンでも新人教育が厳し過ぎるですっ。もっといたわりを持って練習させないと、新人さんは泣いてしまうですっ。」
「なんだと。あたいに意見するっていうのか。これは練習じゃねえ。しごきだ。だから、厳しく激しく非人道的は当たり前だ。」
「ナッキーにも厳しい言葉をぶつけるっていうですかですっ?そんなこと、そんなことしたら、ナッキー、泣いてやるですっ。う、う、うぇ~ん。」
「また始まったな、ナッキーの泣き虫モードが。」
ナッキーは肩までのブルーヘアのカールツインテ。愛くるしい青い瞳と小ぶりな鼻と唇に、鮮やかなピンク色の頬が目をひく一見萌え系美少女であるが、髪止めは子泣ジジイの顔であり、異様な雰囲気を伴っている。
「うぇ~ん、びびび~んば~!」
ナッキーはただの泣きから、号泣に変わった。そのまま一分が経過した。
「ジャイアンツって。あ、あたしがプロ野球選手だなんて、聞いてないよ~。」
「確かにプロ野球選手なんかじゃないな。そんなドリーム特権階級じゃないからな。ここは特別な野球チームが使うドーム球場だし。そんなことより、あたいの打球をどんどん捕るんだよ!」
ランボウは再びノックを始めた。打球のスピードはだんだんと速くなり、美散の頬を掠めた。
「痛~い!」
「痛がってるヒマはないぞ。ほら、これを使え。」
ランボウは美散に野球のグラブを投げつけた。痛さに涙している美散は焦ってグラブを利き手にはめようとする。
「う、うまく入らないよ。これ、どうやって使うんだよ~。」
「バカやろう!貴様は右利きだろう。それは左手にはめるものだ。」
美散は慌ててグラブを左手にはめようとするが、うまくいかない。
「だ、ダメだよ~!」
「ならばこうするしかないな。乱れ打ち~。」
ランボウは続けざまにノックして、矢のようなボールが容赦なく美散を襲う。
「痛い、痛い、痛い!」
亀のようになった美散は、背中をボコボコにされている。
美散の白いユニフォームはあちこちが赤く滲み、美散は傷だらけになっている。
「痛いよ~。誰か助けて!」
「ここはスタジアムだぜ。誰も助けに来るものか。」
攻撃ならぬノックの手を緩めることのないランボウ。
「キャプテン、ちょっと待つのですっ。」
「なんだ、『泣き虫ナッキー』か。邪魔するんじゃねえ。」
「いくらキャプテンでも新人教育が厳し過ぎるですっ。もっといたわりを持って練習させないと、新人さんは泣いてしまうですっ。」
「なんだと。あたいに意見するっていうのか。これは練習じゃねえ。しごきだ。だから、厳しく激しく非人道的は当たり前だ。」
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「また始まったな、ナッキーの泣き虫モードが。」
ナッキーは肩までのブルーヘアのカールツインテ。愛くるしい青い瞳と小ぶりな鼻と唇に、鮮やかなピンク色の頬が目をひく一見萌え系美少女であるが、髪止めは子泣ジジイの顔であり、異様な雰囲気を伴っている。
「うぇ~ん、びびび~んば~!」
ナッキーはただの泣きから、号泣に変わった。そのまま一分が経過した。
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