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エピローグ
その5
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眼を瞑っていた三人は頬に、奇妙な感触を得て、瞠目していた。
「これでわかりましたわ。犯人が誰なのか、この悪魔の唇を通じて、深層に潜めていた思考を読み取ることに成功したのです。こんな能力、いかにも悪魔的ですわ。このオレがゾクゾクしましたわ。」
「ホントかしら。それで、犯人が特定できたということね?」
「はい。それでは犯人の発表です。ジャジャジャジャジャ~ン。」
「効果音は無意味だから早くしなさいよ。」
「楡浬。そんなに事を急いではいい結果が得られませんわ。拙速はルーティンワークには大いに有用ですが、基礎研究はじっくり型で行かないと。それでは、犯人は・・・あなたです!」
「えッ?あたい?どうして。」
「悪魔の能力でスベテを理解しましたわ。」
「まさか、それって、あんな部分や、そんな部分も?」
「そうですわ。完璧に把握しましたわ。ちょっと口では言えないような部位にちょこなんと存在するホクロとか。」
「大悟~!」
「冗談ですわ。しかし、これから行うことは本物です。先ほどはテストとしてのほっぺたへの実力行使で、90%の確証を得ました。そこには1割の誤差があります。それはほっぺたからの情報にわずかのバグが混入しているからです。今度が本番です。これで犯人を完全に把握します。それは唇からの超直接情報吸収です。JR九州ですわ。」
「宇佐鬼大悟。それって、あたいの初めてを奪いに来るということ?」
「あら初めてでしたのかしら。それならば雑念もなく、想像以上に真実がわかりそうですわ。おいしそうです。じゅるる。」
「ごくん。あ、あたいの初めてが、こんな形で、こんな衆人環視の中でなんて。」
「それですわ。その恥じらいこそが、オレの第一志望校合格への大いなる布石ですわ。」
「大悟。初期の目的から大いに逸脱してないかしら。」
「そんなことはありませんわ。では、行きます。ちょっと、カウントダウンしましょう。唇と唇の距離が10センチ、9センチ。」
大悟が前委員長の赤くなった顔に近づいていく。
「「「「ゴクリ。」」」」
華莉奈・穂扶良・楡浬・桃羅は固唾を飲んでいる。
「8センチ、7センチ、6センチ、5センチ。ふう。ちょっと休憩しますわ。」
「6センチ、5センチ、4センチ、3センチ、5ホン。ふう。」
咳払いをして一瞬の間が空いた。ちょっとバックした大悟。
「4センチ、3センチ、2センチ、1センチ~・・・。ゴクリ。・・・。ゴール!」
「やめて!お兄ちゃん!」
「桃羅、どうかしましたか。」
「は、犯人はモモだよ!」
「「「「えええ?」」」」
「やっぱりそうでしたか。犯人あぶり出しは成功しましたわ。」
「どういうこと?」
「こうすれば真犯人は自動的に自首するということですわ。仮に前委員長が犯人でなければ、唇へのキスを受け入れるしかない。犯人であれば前委員長は拒絶します。前委員長が犯人でなければ、残りはふたりとなります。非犯人がメイドさんであれば、やはりキスを受け入れ、犯人であれば拒絶します。だから、委員長ひとりを餌食にすれば、やがて答えはわかるのです。キスで相手の思考がわかるとか、ダメ悪魔の能力にはあり得ませんわ。」
「なんだか、ひどくムカつくんだけど。」
「それより、桃羅がどうしてオレたちに入れ替わり魔法をかけたんですの?」
「それはお兄ちゃんへの愛よ。実の兄妹では結婚できない。でも姉妹になれば、戸籍上不存在になる。するとモモとお兄ちゃんが結婚できるということだよ。でもお兄ちゃんの気持ちはモモには向いてないってわかった。さっきのお兄ちゃんのロジックでは、キス相手はモモでも良かったのに、それを選択しなかった。ぐすん、ぐすん、え~ん。」
桃羅は跪いて大粒の涙で頬を光らせた。
「これでわかりましたわ。犯人が誰なのか、この悪魔の唇を通じて、深層に潜めていた思考を読み取ることに成功したのです。こんな能力、いかにも悪魔的ですわ。このオレがゾクゾクしましたわ。」
「ホントかしら。それで、犯人が特定できたということね?」
「はい。それでは犯人の発表です。ジャジャジャジャジャ~ン。」
「効果音は無意味だから早くしなさいよ。」
「楡浬。そんなに事を急いではいい結果が得られませんわ。拙速はルーティンワークには大いに有用ですが、基礎研究はじっくり型で行かないと。それでは、犯人は・・・あなたです!」
「えッ?あたい?どうして。」
「悪魔の能力でスベテを理解しましたわ。」
「まさか、それって、あんな部分や、そんな部分も?」
「そうですわ。完璧に把握しましたわ。ちょっと口では言えないような部位にちょこなんと存在するホクロとか。」
「大悟~!」
「冗談ですわ。しかし、これから行うことは本物です。先ほどはテストとしてのほっぺたへの実力行使で、90%の確証を得ました。そこには1割の誤差があります。それはほっぺたからの情報にわずかのバグが混入しているからです。今度が本番です。これで犯人を完全に把握します。それは唇からの超直接情報吸収です。JR九州ですわ。」
「宇佐鬼大悟。それって、あたいの初めてを奪いに来るということ?」
「あら初めてでしたのかしら。それならば雑念もなく、想像以上に真実がわかりそうですわ。おいしそうです。じゅるる。」
「ごくん。あ、あたいの初めてが、こんな形で、こんな衆人環視の中でなんて。」
「それですわ。その恥じらいこそが、オレの第一志望校合格への大いなる布石ですわ。」
「大悟。初期の目的から大いに逸脱してないかしら。」
「そんなことはありませんわ。では、行きます。ちょっと、カウントダウンしましょう。唇と唇の距離が10センチ、9センチ。」
大悟が前委員長の赤くなった顔に近づいていく。
「「「「ゴクリ。」」」」
華莉奈・穂扶良・楡浬・桃羅は固唾を飲んでいる。
「8センチ、7センチ、6センチ、5センチ。ふう。ちょっと休憩しますわ。」
「6センチ、5センチ、4センチ、3センチ、5ホン。ふう。」
咳払いをして一瞬の間が空いた。ちょっとバックした大悟。
「4センチ、3センチ、2センチ、1センチ~・・・。ゴクリ。・・・。ゴール!」
「やめて!お兄ちゃん!」
「桃羅、どうかしましたか。」
「は、犯人はモモだよ!」
「「「「えええ?」」」」
「やっぱりそうでしたか。犯人あぶり出しは成功しましたわ。」
「どういうこと?」
「こうすれば真犯人は自動的に自首するということですわ。仮に前委員長が犯人でなければ、唇へのキスを受け入れるしかない。犯人であれば前委員長は拒絶します。前委員長が犯人でなければ、残りはふたりとなります。非犯人がメイドさんであれば、やはりキスを受け入れ、犯人であれば拒絶します。だから、委員長ひとりを餌食にすれば、やがて答えはわかるのです。キスで相手の思考がわかるとか、ダメ悪魔の能力にはあり得ませんわ。」
「なんだか、ひどくムカつくんだけど。」
「それより、桃羅がどうしてオレたちに入れ替わり魔法をかけたんですの?」
「それはお兄ちゃんへの愛よ。実の兄妹では結婚できない。でも姉妹になれば、戸籍上不存在になる。するとモモとお兄ちゃんが結婚できるということだよ。でもお兄ちゃんの気持ちはモモには向いてないってわかった。さっきのお兄ちゃんのロジックでは、キス相手はモモでも良かったのに、それを選択しなかった。ぐすん、ぐすん、え~ん。」
桃羅は跪いて大粒の涙で頬を光らせた。
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