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第四章

第七話

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「では開票するぞ。」
三輪車支配人教師は黒板に三候補者の名前を書き、そこに正の字を書いていく。

「現委員長に、清き一票じや。次、悪魔、ウケ狙いに一票じや。傘お化けにショーアップ一票じや。」

「余計なコメントはおよしになって!」
ウケ狙いグループに仕分けられた大悟がクレームを付けて、以後は黙って板書する三輪車支配人教師。
そして開票作業が終了した。

「では開票結果を発表するぞい。第三位、傘お化け。第二位、悪魔。第一位、現委員長。」
「やっぱり現職は強かったわ!」「委員長当選おめでとう!」「これで天使の威厳と秩序は保たれたわ!」
クラスは拍手喝采・・・とは行かず、拍手はダルメシアン模様だった。

三輪車支配人教師は続けた。
「獲得票数は現委員長10票、悪魔も10票、傘お化けも10票。つまり同点じゃ。順位は立候補順に述べただけじゃ。」

(じゃあ、投票結果はどうなるのよ?まさかの投票やり直し?)
すかさず楡浬が突っ込んだ。

「三人同点じゃから、上位ふたりで決戦投票というわけにもいかんしのう。」

「先生、ちょっと待って。」
委員長が両手を机に立てて、立ち上がった。

「あたいは悪魔に入れるよ。この勝負、あたいの負けだ。まさか、こんな展開になるなんて予想もしなかったけど。クラスの三分の一しか、信任されなかったんだから、あたいの負け。潔く委員長を降りるよ。これからは悪魔が好きにやればいいよ。クラスがどうなっても知らないとか、言わないよ。悪魔はしっかりみんなのために地道な運動してるし。クラスのみんなもそれはわかってるはず。選挙にエキストラマンを投入して票の切り崩しを図ったのも見事だったし。いろんなことを想定して活動できるということは、クラス全体を俯瞰する委員長の資質があると見て問題ないと思うし。」

(これで良かったのかしら?キツネにつまみ食いされた気分だわ。)

「つまみ食いレベルならオールOKですわ。負けには必ず理由があり、負けに不思議の負けなしですわ。勝ちには不思議のかち割りです。不思議なぞ、ぶち壊してしまえばいい。全ての超常現象はプラズマで解決できると高名な物理学者が言ってますわ。」

(それって乱暴すぎないかしら。)

「乱暴もランボーも乱歩もありますわ。なんでもアリですわ!」

(もうどうでもいいわ。とにかく勝ったのね!)

「まだ次のハードルがありますわ。」

(次って、生徒会よね。次も選挙?)

「それは無理でしょう。クラス委員長選挙はクラスだけのものだから融通が多少は効く。でも生徒会長選挙は学校全体のもの。年に一回という規則は動かせませんわ。」

(じゃあこれからどうするのよ。)

「まずは生徒会へ委員長就任挨拶をしますわ。委員長はクラスの意見を生徒会へ伝達するメッセンジャーでもあります。その部分が生徒会との接点でもありますわ。」

こうして大悟・楡浬は生徒会室を訪ねた。
『コンコン。』
「どうぞ、お入りくださいませ。」
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