45 / 70
第三章
第十六話
しおりを挟む
委員長のしゃがみこんだ周辺の床はすべてスケルトン。というより、すべての床から薄い雲を経て下界が見えている。
「屋敷の中は暗くて見えなかったですけど、すべての床がガラスでできているということですの?」
「ホラホラパンポン、館内放送だよ。」
「桃羅!これはいったいどういうことですの?」
スピーカーに向かって大悟は、質問を飛ばした。
「お兄ちゃん。その透明なヤツはガラスじゃなく、水分の凍ったもので、雲と一緒だよ。だから、モモを愛撫する時と同じく、すご~く優しくしないと、壊れちゃうから注意してね!」
「(愛撫だと?)」
楡浬、委員長が大悟を強烈に睨んだ。
「ち、違いますわ。愛撫なんかしてませんわ。合図の間違いですわ!」
「あれ?お兄ちゃん。あの日の夜のこと、忘れちゃったんだ。モモ、泣いちゃう。」
「(妹にセクハラ?)」
またもふたりが紫色のオーラを噴出しながら、睨んできた。
「ウ、ウソですわ。冤罪ですわ。円買いは、今は避けた方がいいですわ!」
大悟の反論の論旨が破綻して、楡浬たちのオーラが大きくなり、爆発しそうになったその時。
『カサカサカサ。』
古くなった紙が揺れるような音がした。暗闇に光る大きな一つ目。
「お化けだよ~。それも番傘のブキミな妖怪だし~。こわいよ、こわいよ、怖がってよねえ~。あ~、つまんない。全然やる気ないし~。」
傘から伸びる真っ白な一本足はルーズソックスを穿いている。格好自体、傘お化けにしては奇妙だし、発言からもおどかす意思は希薄に見える。
「こんなことしてもつまんないし~。でも仕事だからぁ。あ~あ。」
溜め息全開の傘お化けはゆっくりと回転して、風を巻き起こした。ヌルい風はひどく気持ち悪い。
(こ、こわいわ!傘お化けなんて、悪魔じゃ、とてもかなわないわ!)
「楡浬。それでも悪魔ですの?戦力、いや戦意が圧倒的に弱すぎますわ。どうみてもタダの一本足の木偶の坊ではありませんか?」
「ちょっと、あんた、何生意気言ってんのよ~。悪魔JKなんて、カッコだけのハリボテじゃね?肩にキモイ人形乗せてるし、かわいくもないし、足太いし~。」
(ふ、太くなんかないわよ!今は、天使に乗っ取りされてるから歪曲されてそんな風に見えてるだけよ。)
「パンツ一丁の人形が何ほざいてるんだよ~。てか、どうして人形が喋ってるんだよ~?」
「屋敷の中は暗くて見えなかったですけど、すべての床がガラスでできているということですの?」
「ホラホラパンポン、館内放送だよ。」
「桃羅!これはいったいどういうことですの?」
スピーカーに向かって大悟は、質問を飛ばした。
「お兄ちゃん。その透明なヤツはガラスじゃなく、水分の凍ったもので、雲と一緒だよ。だから、モモを愛撫する時と同じく、すご~く優しくしないと、壊れちゃうから注意してね!」
「(愛撫だと?)」
楡浬、委員長が大悟を強烈に睨んだ。
「ち、違いますわ。愛撫なんかしてませんわ。合図の間違いですわ!」
「あれ?お兄ちゃん。あの日の夜のこと、忘れちゃったんだ。モモ、泣いちゃう。」
「(妹にセクハラ?)」
またもふたりが紫色のオーラを噴出しながら、睨んできた。
「ウ、ウソですわ。冤罪ですわ。円買いは、今は避けた方がいいですわ!」
大悟の反論の論旨が破綻して、楡浬たちのオーラが大きくなり、爆発しそうになったその時。
『カサカサカサ。』
古くなった紙が揺れるような音がした。暗闇に光る大きな一つ目。
「お化けだよ~。それも番傘のブキミな妖怪だし~。こわいよ、こわいよ、怖がってよねえ~。あ~、つまんない。全然やる気ないし~。」
傘から伸びる真っ白な一本足はルーズソックスを穿いている。格好自体、傘お化けにしては奇妙だし、発言からもおどかす意思は希薄に見える。
「こんなことしてもつまんないし~。でも仕事だからぁ。あ~あ。」
溜め息全開の傘お化けはゆっくりと回転して、風を巻き起こした。ヌルい風はひどく気持ち悪い。
(こ、こわいわ!傘お化けなんて、悪魔じゃ、とてもかなわないわ!)
「楡浬。それでも悪魔ですの?戦力、いや戦意が圧倒的に弱すぎますわ。どうみてもタダの一本足の木偶の坊ではありませんか?」
「ちょっと、あんた、何生意気言ってんのよ~。悪魔JKなんて、カッコだけのハリボテじゃね?肩にキモイ人形乗せてるし、かわいくもないし、足太いし~。」
(ふ、太くなんかないわよ!今は、天使に乗っ取りされてるから歪曲されてそんな風に見えてるだけよ。)
「パンツ一丁の人形が何ほざいてるんだよ~。てか、どうして人形が喋ってるんだよ~?」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
6年3組わたしのゆうしゃさま
はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏
夏休みが終わり登校すると
クオラスメイトの少女が1人
この世から消えていた
ある事故をきっかけに彼女が亡くなる
一年前に時を遡った主人公
なぜ彼女は死んだのか
そして彼女を救うことは出来るのか?
これは小さな勇者と彼女の物語
遊女の私が水揚げ直前に、お狐様に貰われた話
新条 カイ
キャラ文芸
子供の頃に売られた私は、今晩、遊女として通過儀礼の水揚げをされる。男の人が苦手で、嫌で仕方なかった。子供の頃から神社へお参りしている私は、今日もいつもの様にお参りをした。そして、心の中で逃げたいとも言った。そうしたら…何故かお狐様へ嫁入りしていたようで!?
後宮の調達人
弥生
キャラ文芸
「ご依頼承りました」
愛憎渦巻く後宮で、外に出る事ができない妃たちのために望む品を届ける調達人。
善き調達人とは、善く聴く耳を持ち、善く観る目を持ち、善く沈黙する口を持つ。
籠扱いの武芸に長ける大男の腕に乗りながら、小柄な調達人の紅姑娘(ホンクウニャン)は後宮で噂される様々な問題を解決していく。
時には人の望みを叶え、時には人の闇に触れ。
貴方が見ているのは、本当に真ですか?
後宮ビターミルクなライトミステリー。
※第6回キャラ文芸大賞に参加しています。
はじまりはいつもラブオール
フジノシキ
キャラ文芸
ごく平凡な卓球少女だった鈴原柚乃は、ある日カットマンという珍しい守備的な戦術の美しさに魅せられる。
高校で運命的な再会を果たした柚乃は、仲間と共に休部状態だった卓球部を復活させる。
ライバルとの出会いや高校での試合を通じ、柚乃はあの日魅せられた卓球を目指していく。
主人公たちの高校部活動青春ものです。
日常パートは人物たちの掛け合いを中心に、
卓球パートは卓球初心者の方にわかりやすく、経験者の方には戦術などを楽しんでいただけるようにしています。
pixivにも投稿しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる