上 下
27 / 70
第二章

第七話

しおりを挟む
「そ、そうだったよ。どよ~ん。うらめしや~。」
テンションが急降下して、暗くなった桃羅。ライトも落としてしまった。

「ここはいったい何をする部活ですの?」

「お答えするよ。ここは『悪魔全破壊滅部』だよ。」

(ちょっとどこかで聞いたようなネーミングね。ひどくセンスが悪いわ。)

「楡浬。自業自得な発言はおよしくださいな。桃羅。この部は名前の通りの活動をやってるんですの?」

「やってないよ。悪魔はこの学校にいないから。その点ではようやくターゲットが舞い込んできたということだよ。」
引き続き桃羅のテンションは低気圧である。

(どうして悪魔を滅ぼしたいのよ?)

「それをド貧乳女が言うか!お前こそ、お兄ちゃんを拐かして、お人形にしてしまった張本人だろう!この場で、この刀のサビにしてくれる!」
暗い中で、刀を抜くような仕草を見せた桃羅。

「おやめなさい、エアー刀は。」

「だって、だって、コイツがお兄ちゃんにヒドいことをしたんだよ!」

「それは違いますわ。たしかに楡浬は無作法で、自分勝手で、空気読めず、先も読めないダメダメ悪魔ですわ。」

(ちょっと、アタシは残念のデパート、いやショッピングモールみたいに言わないでよ!)

「しかし、オレをこんなにしたのは、楡浬ではありません。楡浬にはそんな大それた能力のない無能力者ですから。」

(アタシの冤罪を晴らそうとしてくれてるんだろうけど、ムカつくわ!)

「犯人はこの学校にいます。おそらく上級の天使ですわ。だから、オレはこの学校に残るため、在籍条件を満たすため、部活の内容は関係なく、この部活に入りたいのです。いいですわね?」

「ダメだよ。」

「それは良かったですわ。これで部活に無事に加入・・・できません?どうしてですの?桃羅。」

「お兄ちゃん。ここの部員はモモひとりだよ。そして、この部活は悪魔を討滅するためのもの。悪魔はド貧乳女だけじゃない。悪魔を入れるのは筋が通らないよ。悪魔を部員にしちゃったら、生徒会から解散命令が出るかもしれない。そうしたらモモも放校になる。それはお兄ちゃんも望まないでしょ?」

「たしかに、オレは桃羅には恙なく学校生活を送ってほしいですわ。」

「でしょ。だから、お兄ちゃん。モモのためにもこの部活には入らないでよ。」

「わかりましたわ。では部員になることは悪魔らしく堂々と断念いたしますわ。」

(ちょっと、そこで悪魔を強調する必要ないじゃない。それに大悟は天使なんだから。)

「この体をわが物とする限りは悪魔として活動させていただきますわ。」

「それじゃ、お兄ちゃん。残念だけど、他をあたってね。」

「悪魔退治が活動目的ならば、自分の中の悪魔を追い払うためにやりますわ。」

「それでも部員にはなれないよ。」

「じゃあ部員じゃなくていいですわ。」

「それじゃ、部活に入ることにならないよ!」

「部活の顧問になりますわ。顧問として悪魔払いをやるのです!」

「顧問なんかになれるはずがないよ。教師じゃあるまいし!」

「用務員ならなれますわ。部活の監督なんて、外部招聘なんて当たり前です。ましてや用務員は学校に極めて近い。用務員手帳がこんなところで生きてくるとは思いませんでしたわ。」

 大悟は茶色の地味な用務員手帳を桃羅にこれ見よがしに見せた。手帳では楡浬の顔写真が小さく映り、背景は三輪車支配人のVサインポーズが占めていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...