魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第三章

第十一話・甘い味

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「ちょ、ちょっと欲情するでない。恥ずかしいではないか。」


白弦が自分で幼女服を捲り上げて黒霞雨に見せていた。


「紛らわしいことをするな!楡浬のは前とは違って、完全な平らではなく、なだらかな円墳がふたつ横並びしているハズだ。」


「な、何言ってるのよ!見たこともないくせに。アタシのは、アンマンのようにふくよかなのよ。限りなくBに近いAVカットなんだからねっ。紫外線もひれ伏すわ。はっ。」


自らの失言に顔を赤らめる楡浬。そんなサイズ単位は存在しないことは言うまでもない。


「それじゃあやるわね。大悟さんは、楡浬さんを背負いなさい。」


「ちょっと、これじゃ、まるでおんぶズマンのポーズじゃないの。」


「そんなワザの名前は知らないわ。でも魔境放眼の力を最大に発揮するにはこの体勢がいちばんなのよ。」
大悟たちは久しぶりにおんぶズマンの形となった。
「うっ。背中に直接体温が。」


「バ、バカ!余計なことを言わないの、感じないのっ!般若心経でも唱えなさい。」


「そんなの知るか!それなら、微分方程式でも解きなさいよ!」


「わ、わかった。って、問題もないのに考えられるか!」


「もう!一人しりとりでもしてなさいよっ!」


「わかった。えっと。大悟。ゴリラ。ラッパ。パンツ。つるぺた。」


「妾をダシにするでない!」


「単細胞。馬。まるはダルマ使い。以下娘。どんなヒドい娘だろう?ひとりごちてしまった。めし。死体遺棄。」


「マニアックなしりとりじゃの。」


「キス。」


「ちょうどいいわ。それよ。」


「ひゃっこ!」


黒霞雨は楡浬の背中に回り、そっと手を当てて、キスをした。声は楡浬のそれである。


「饅頭の甘い味がするわ。久しぶりにこれを味わったわ。」
 黒霞雨は楡浬の背中全体を丹念にキスして回った。
『シュルル』という蒸気が上がるような音が楡浬の全身から聞こえた。
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