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第三章
第四話・自殺マンション
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「どうせ、ショタイゴちゃんの出席日数なんか関係にゃい。気の迷いという理由で休みにするじょ。」
「ならば現場に直行じゃ。」
大悟と白弦は楡浬たちに黙ってふたりで現地に向かった。ショタイゴちゃんなので、白弦しか抱えられないという事情もある。
「重いじょ。どうしてショタイゴちゃんのからだで、つるぺたを抱えないといけないのかにゃ?」
「妾は長年雲の上にいたから歩く体力に乏しいのじゃ。」
「でも昨日まで、今から行くところを自分の足で探してたんじゃないのきゃ?」
「それは風魔法で空から飛んでやったんじゃ。」
「こら!それならここでも同じことをやればいいんじゃないのきゃ?」
「二人乗りは難しいんじゃ。地獄では下に降り立っただけじゃったから問題なかったが、上昇するには相当な魔力が必要じゃ。人間界では魔力が十分には使えないから、ダメなのじゃ。」
「そうきゃ。それなら仕方ないにゃ。」
「ああ。それにこの方が楽じゃ。自然の風も心地よい。」
「結局そこかよ!」
電車に乗って少し歩いたところに立ったふたり。
「ここじゃ。人呼んで、『自殺マンション』。」
「穏やかな名前じゃないにゃ。いかにも曰く付きの物件ってとこきゃ。」
「ここでは何人も自殺者が出ており、今じゃガラガラになってしもうた。聞くところによれば、悪いヤツが住んでいて、そいつが酷い嫌がらせをマンション住民にやって、次々と自殺者が出て、賃貸マンション全体がガラ空きになった。マンション住民だけでなく、近隣の人たちからもマンションオーナーの両親のところに苦情が殺到し、マスコミにも連日取材攻勢されて、両親はノイローゼになってしまったのじゃ。そしてついに自殺に追い込まれた。家には中学生の娘がひとり残されたが、学校で激しいイジメに遭って、不登校になり、ひきこもってしもうた。娘は、教師はおろか、誰にも会おうとしない。オートロックで入れないマンション。部屋は百戸以上あるが、娘以外には誰も住んでいない。娘がどこの部屋にいるかもわからないのじゃ。」
「ずいぶんかわいそうな話だにゃ。そこが地獄への通路となっているというのきゃ?」
「ならば現場に直行じゃ。」
大悟と白弦は楡浬たちに黙ってふたりで現地に向かった。ショタイゴちゃんなので、白弦しか抱えられないという事情もある。
「重いじょ。どうしてショタイゴちゃんのからだで、つるぺたを抱えないといけないのかにゃ?」
「妾は長年雲の上にいたから歩く体力に乏しいのじゃ。」
「でも昨日まで、今から行くところを自分の足で探してたんじゃないのきゃ?」
「それは風魔法で空から飛んでやったんじゃ。」
「こら!それならここでも同じことをやればいいんじゃないのきゃ?」
「二人乗りは難しいんじゃ。地獄では下に降り立っただけじゃったから問題なかったが、上昇するには相当な魔力が必要じゃ。人間界では魔力が十分には使えないから、ダメなのじゃ。」
「そうきゃ。それなら仕方ないにゃ。」
「ああ。それにこの方が楽じゃ。自然の風も心地よい。」
「結局そこかよ!」
電車に乗って少し歩いたところに立ったふたり。
「ここじゃ。人呼んで、『自殺マンション』。」
「穏やかな名前じゃないにゃ。いかにも曰く付きの物件ってとこきゃ。」
「ここでは何人も自殺者が出ており、今じゃガラガラになってしもうた。聞くところによれば、悪いヤツが住んでいて、そいつが酷い嫌がらせをマンション住民にやって、次々と自殺者が出て、賃貸マンション全体がガラ空きになった。マンション住民だけでなく、近隣の人たちからもマンションオーナーの両親のところに苦情が殺到し、マスコミにも連日取材攻勢されて、両親はノイローゼになってしまったのじゃ。そしてついに自殺に追い込まれた。家には中学生の娘がひとり残されたが、学校で激しいイジメに遭って、不登校になり、ひきこもってしもうた。娘は、教師はおろか、誰にも会おうとしない。オートロックで入れないマンション。部屋は百戸以上あるが、娘以外には誰も住んでいない。娘がどこの部屋にいるかもわからないのじゃ。」
「ずいぶんかわいそうな話だにゃ。そこが地獄への通路となっているというのきゃ?」
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