魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第三章

第一話・かわいい男子

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 翌日の学校。大悟のクラスの朝はいつも通り騒然としている。ほとんど女子だけのクラスでは外目への遠慮がないためだ。


『ガラガラガラ。カッカッカッ。コツコツコツ。』


 始業のチャイムが鳴って、教師桃羅が教室へ入って来たが、今日は小さな足音を伴っている。その足音の発信先にクラス女子の虫眼鏡視線が集中した。


「あらあら、ずいぶんかわいい男子じゃない。」「う~ん萌えるわ。」「これって世間でウワサのショタ?」「誰かの弟かしら。」「持ち帰りたい。」


 クラスのざわつきを止めるように教師桃羅が手を打った。


「はいはい。みなさんに戒厳令を出しちゃうよ。ここにいるのは、あたしの弟くんだよ。所要で休学となった宇佐鬼大悟くんのダミーだよ。名前は宇佐鬼ショタイゴちゃんだよ。弟くんだけど、限りなくお兄ちゃんみたいなものだよ。みんな仲良くしなくていいからね。あたしが独占欲の餌食にするから~!」


「弟くんには近づけそうにないわね。」「でも代わりに大きな果実を得たわ。」「そうそう。」
「キッシンジャーなんていない方が平和だし。」「そうね。」「やっと安心して校内を歩けるわ。」


 教師桃羅の大悟ダミー宣言をあっさり受け入れてしまうクラスメイト。大悟の存在の軽さに対して、スーパードライである。
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