魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第二章

第八十話・UMA

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「オレがまみれているのは世間だけだじょ。」


『ダダダダダダダ!』


 すごい勢いで階段からダンジョンの大きな岩が転げるように物体が落ちてきた。


「アタイのショボ魔法で生まれた!これぞ、ショタイゴちゃん!遂成の字。欲吸の字。末抱の字!」


 さっきまで無人の暗黒大陸にひとり取り残された状態の衣好花が復活していた。衣好花は桃羅から大悟を取り上げて、自分の胸に抱いて、頬ずりを繰り返している。


「止めろ!苦しい。摩擦熱でやけどしそうだじょ。」


「アタイのハートにショタイゴちゃんが火を点けた。萌燃の字。」


「これって魔法?お兄ちゃんを小さくしちゃったのはショボ魔法使い?このままでもかわいいからいいけど。」


「よくない。早く元に戻しぇ。このままじゃ、青春を謳歌する前に、もう一度第二次性徴を繰り返さないといけないじょ。」


「それはいいねえ。今度はモモが手取り、足取り、足取り、足取り教えてあげるよ。超楽しみ!」


《その楽しみ、まる、先食いする。だんまり。》


「いったいなによ、騒がしいじゃないの。アタシにアイドルのスカウトでもきたのかしら。今はBLマンガ読破で忙しいんだけど。」


 楡浬もリビングにやってきて、そこにいた少年が目に入った。それまでの青汁罰ゲーム食らったような顔が恵比寿様のように緩んでしまった。


「キャイ!こ、これって、商店街の一等賞よね。誰が当てて来たの?アタシにくれるわよね?」


 楡浬審査員にもE難度クリアの高評価を得た大悟。


「オレは賞品じゃない。高校生の宇佐鬼大悟だ!」


「大悟ですって!?どうしちゃったのよ。何か悪いものでも食べて、からだが干物弟になったっていうこと?UMAだわ。」


「ついにオレもUMA呼ばわりされるとは。」


「他人を侮蔑すると自分に跳ね返ってくる。因果応報じゃ。」


 クラス全員のテスト採点を終えてひと仕事済んだと満足げになった中年教師のように、ゆっくりと歩いてやってきた白弦。
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