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第二章
第五十九話・謎の生き物
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「ううう。あれ。オレはいったいどうしたんだっけ。そう言えば、強風に飛ばされて、熱い蒸気に包まれたような。だ、騙流は?」
シャツとズボンが復活していた大悟は周囲を見渡す。
《ここにいる。ずっと、だんまり。》
純白の空間の中で、騙流はすでに起きていた。そして一方的に何かを見ていた。その視線の先。
「やっとお目覚めかの。ようこそ、カメの国へ。久しぶりの来客じゃ。しかも男とな。付属品がついておるのが少々邪魔じゃが。」
大悟の黒い瞳に映ったモノ。
「騙流よりちっちゃい。この小動物はいったい。顔だけしかない。髪の毛やからだがいっさいない。UMAか?新発見だ!これを売れば宇佐鬼家の家計も安泰だ!」
「UMAじゃと?どこにいる?」
「UMAがしゃべった!さらに商品価値が上がったぞ!ちょっと待て。今の話、もしかして妾のことか?」
「質問をしてきたぞ。知能ある物体だ。これは世紀の大発見、ノーベル賞モノだ!」
「こら。妾の話を聞いておるか。」
「はあ?この生き物をよく見てみよう。」
大悟は殊更に光彩を拡大して、目の前の物体を観察した。頭部、胴体、手足がちゃんと存在している。この部屋自体が真っ白で、白い髪の毛と白い衣服が保護色となって見えなくなっていたのである。
見た目は幼児スタイル、つまり幼稚園児の着るような白いエプロン型制服を身につけている。制服には胸からお腹にかけて、カメのイラストがあり、うさぎを噛んでいる様子が描かれている。UMAはふっくらのツインテを肩に乗せている。もみじのような手にはウルウル目をした亀の人形。ただ、手の甲には何か硬そうなものが付着している。
「ああ、わかった。ここは地獄の幼稚園なんだな。オレは宇佐鬼大悟。お嬢ちゃん、お名前は、亀井亀之進(しん)かな?」
「違うわ!なんじゃ、そのタイムスリップした時代錯誤武士のごときネーミングセンスは!妾は、白弦(はくつる)じゃ!」
シャツとズボンが復活していた大悟は周囲を見渡す。
《ここにいる。ずっと、だんまり。》
純白の空間の中で、騙流はすでに起きていた。そして一方的に何かを見ていた。その視線の先。
「やっとお目覚めかの。ようこそ、カメの国へ。久しぶりの来客じゃ。しかも男とな。付属品がついておるのが少々邪魔じゃが。」
大悟の黒い瞳に映ったモノ。
「騙流よりちっちゃい。この小動物はいったい。顔だけしかない。髪の毛やからだがいっさいない。UMAか?新発見だ!これを売れば宇佐鬼家の家計も安泰だ!」
「UMAじゃと?どこにいる?」
「UMAがしゃべった!さらに商品価値が上がったぞ!ちょっと待て。今の話、もしかして妾のことか?」
「質問をしてきたぞ。知能ある物体だ。これは世紀の大発見、ノーベル賞モノだ!」
「こら。妾の話を聞いておるか。」
「はあ?この生き物をよく見てみよう。」
大悟は殊更に光彩を拡大して、目の前の物体を観察した。頭部、胴体、手足がちゃんと存在している。この部屋自体が真っ白で、白い髪の毛と白い衣服が保護色となって見えなくなっていたのである。
見た目は幼児スタイル、つまり幼稚園児の着るような白いエプロン型制服を身につけている。制服には胸からお腹にかけて、カメのイラストがあり、うさぎを噛んでいる様子が描かれている。UMAはふっくらのツインテを肩に乗せている。もみじのような手にはウルウル目をした亀の人形。ただ、手の甲には何か硬そうなものが付着している。
「ああ、わかった。ここは地獄の幼稚園なんだな。オレは宇佐鬼大悟。お嬢ちゃん、お名前は、亀井亀之進(しん)かな?」
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