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第二章
第二十七話・衣好花のショボい攻撃
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《そんな未来、黒板消しでデリートする。だんまり。》
「黒板消しゲームは得意なんだです。勝った方が大悟たんについていく。戦挙の字。」
額に文字が浮かぶや否や、刃渡り二メートルの剣を手に取って、刃の部分をツメで引いた衣好花。
キィィという非常に耳障りな接触音が騙流の聴覚を掻き乱す。
というより気分を著しく害した。ちなみに、この音は、人間に進化する前の猿が仲間に危険を知らせる叫び声だと言われる。
警戒音であるがゆえに、人間には非常に嫌なものに聞こえるらしい。
《ぐあああ~。だんまり。》
騙流は声こそ出さないが、いつもの無表情筋肉を崩して歪めたレア顔を披露している。
「ぎひひひ。ただのツメではこんな音はでないぞです。ショボ魔法でツメを固くしてるんだです。苦しめ、苦しめです。他人の苦しみはあたいの喜び。イバラの道を歩いて行けば出血多量で、命辞の字。」
衣好花のショボい攻撃では出血する事はあり得ないので、騙流の命に別状はないが、騙流は膝から崩れて虫の息状態である。
「わははは。カンタンに勝利を手に入れたです。相手にとって不足があり過ぎたです。あと百回戦っても負ける気がしないぞです。普勝の字。」
衣好花は臭い息を吐く中年オヤジのように横たわる騙流を見下ろしている。
《そ、その言葉、いただく。言葉を軽んじるとヤケドする。だんまり。》
衣好花の傲慢な態度に、騙流はダルマを腰の回りに寄せてからだを立てて態勢を整えた。
《まる、反撃を声高らかに宣言する。衣好花のショボい前途に、行灯を付けてやる。だんまり。》
「明るくしてどうするんだです。意疑の字。」
《これから真っ暗な冥府に送り込まれる、だからせめて足元くらい、見えるようにしてやる。だんまりやめっ!》
騙流の気合いとともにダルマたちが一カ所に集結、何かを形作り、やがて赤いバットとなった。
「黒板消しゲームは得意なんだです。勝った方が大悟たんについていく。戦挙の字。」
額に文字が浮かぶや否や、刃渡り二メートルの剣を手に取って、刃の部分をツメで引いた衣好花。
キィィという非常に耳障りな接触音が騙流の聴覚を掻き乱す。
というより気分を著しく害した。ちなみに、この音は、人間に進化する前の猿が仲間に危険を知らせる叫び声だと言われる。
警戒音であるがゆえに、人間には非常に嫌なものに聞こえるらしい。
《ぐあああ~。だんまり。》
騙流は声こそ出さないが、いつもの無表情筋肉を崩して歪めたレア顔を披露している。
「ぎひひひ。ただのツメではこんな音はでないぞです。ショボ魔法でツメを固くしてるんだです。苦しめ、苦しめです。他人の苦しみはあたいの喜び。イバラの道を歩いて行けば出血多量で、命辞の字。」
衣好花のショボい攻撃では出血する事はあり得ないので、騙流の命に別状はないが、騙流は膝から崩れて虫の息状態である。
「わははは。カンタンに勝利を手に入れたです。相手にとって不足があり過ぎたです。あと百回戦っても負ける気がしないぞです。普勝の字。」
衣好花は臭い息を吐く中年オヤジのように横たわる騙流を見下ろしている。
《そ、その言葉、いただく。言葉を軽んじるとヤケドする。だんまり。》
衣好花の傲慢な態度に、騙流はダルマを腰の回りに寄せてからだを立てて態勢を整えた。
《まる、反撃を声高らかに宣言する。衣好花のショボい前途に、行灯を付けてやる。だんまり。》
「明るくしてどうするんだです。意疑の字。」
《これから真っ暗な冥府に送り込まれる、だからせめて足元くらい、見えるようにしてやる。だんまりやめっ!》
騙流の気合いとともにダルマたちが一カ所に集結、何かを形作り、やがて赤いバットとなった。
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