上 下
23 / 71
第二章

第三部分

しおりを挟む
和人の軽い体が小さなバネ音を立てて、針が時計回りに反応して、揺れながら停止する。目盛りは五分の一が赤ゾーン、残りは黒だが、和人の値は黒の前半で止まった。
「これは軽いですよ。全然問題ないですよ。天界承認基準を軽々とクリアしてますですよ。かなり軽いですよ。すごく軽いですよ。超絶軽いですよ。」
「基準のことはわからないけど、なんとなくムカつくのは気のせいかな?それに魔界に入ろうとしてるのに、天界承認基準って?」
「それを話すと長くなるのですよ。簡単に言えば、天界と魔界の力関係とでも言っておくですよ。」
「そうなんだ。今のボクのやることとは関係ないな。じゃあ、ここを通してよ。」
「どうぞどうぞですよ。」
開いていた門をくぐると、そこは雪国だった、などということはなかった。
「これって、何も変わらないじゃない。」
文句を言う場面ではないが、咲良がクレーマーになった。
地面がゴミでガタガタだったのが、コンクリートになっただけで、見える先が地平線であることは変わりない。
「門の中と外でどこか変わるとか、ひとことも言ってないですよ。たかが千円の入場券にどんなアトラクションを期待したのですかですよ。」
「だって、名前はドリームアイランドでしょ。ならば何かこう、遊園地的な場所だって思うのがフツーじゃない。」
「あのう、天使さん。まさかとは思いますが、デートに来たとか、心の中で期待感をムダに膨張させてたとかですかですよ?」
「バ、バカなこと、言うんじゃないわよ。」
「お兄ちゃん。浮かれたお姉ちゃんはほっといて、中に入ろうよ。ぎゅっと。」
またまた腕を掴んで、今度は露骨にボリューム十分な胸を押し付ける実亜里。
「何、破廉恥なバレンチノなこと、やってるのよ。」
「これのどこが破廉恥なんだよ。まあバレンチノという高級路線は正しいけどね。お姉ちゃんには、ゼッタイできない芸当だよね?」
実亜里は咲良の胸に視線ベクトルを合わせた。
「ちょっと、弱い者イジメはやめなさいよ。でもいつかは勝者になる未来があるんだからねっ!」
「それはムリムリ、無駄無駄無駄無駄無駄~!」
「ディオはジョジョに徐々に滅ぼされるんだから!」
「お二方、お静かにですよ。販売員が門の中をご案内しますですよ。」
こうして4人は、しばらく何の飾りもないコンクリートの上を歩いていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

ああああ
恋愛
クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します

カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。 そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。 それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。 これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。 更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。 ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。 しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い…… これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...