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第一章

第十五部分

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「お兄ちゃん。ここにそれはないよ。みあはどこにあるか知らないよ。自分で探すことだね。」
「そうなのか。ここにないということは、実亜里の第二部屋を当たるしかないな。」
「えええ?それを知ってたの?隠してたのに。」
「隠してる?同じ家に長年住んでいるんだから、それを知らないハズがないだろう。」
「実の妹の秘密かつ超絶禁断の花園をこじ開けて、暴こうって言うの?それって、大犯罪だよ、私刑になっちゃうよ。」
「私刑ならなんでも持って来いだ!」
「言い間違えちゃったよ。やっぱり死刑だよ。」
「もうどっちでもいいから、第二部屋を見せろ。そういえば一度も実亜里の第二部屋の中に入ったことなかったもんな。たまにはいいだろう。」
「お兄ちゃんの中の、大蛇に火が付いたちゃったね。いや小蛇かな?」
「そ、そんなことは、ど、どうでもいいだろう。」
「え?まさか、もしかして、めったにない、図星モード?それって、ちょっと、いやけっこう悲しいかも。」
「うるさい、うるさい、うるさ~い!」
 こうして、意気消沈の実亜里とプンスカの和人は、実亜里の部屋に向かった。
「うふふふ。まさか、お兄ちゃんの方から飛び込んで来るとはねえ。飛んで火にいる夏の虫並みサイズだね。」
「まだそれを言うか!それにしても、実亜里の部屋って、ずいぶん遠いなあ。この家はそんなに大きくないのに、ダンジョンにでも迷い込んだ感じだぞ。」
「ふふん。そういう風に感じるように魔法をかけているんだよ。相対魔法、術式・光、制限オン。対象・お兄ちゃん、範囲・30立方メートル、時間・10年間、到級0.5。発動中だよ!すごく緩い魔法だから、他の魔法と同時発動が可能なんだよ。」
「到級0.5とかあるんだ。」
「うん。これは時間質量をほとんど消費しないから楽チンなんだよ。」
「時間質量?なんだそれは。」
「魔法の源泉エネルギーだよ。詳しくは今度ね。もう着いちゃったし。♥」
「そのハートマーク、嫌な予感しかしないんだけど。それにその部屋のプレート、いや大看板は何だよ?」
『実亜里ルーム。休憩1500円。宿泊3000円。どっちでもいいよ。使用料じゃなく、あげるんだよ。おいしいよ♥』と書いてあった。
「こんなところ、入れるか!」
「それが正しい判断だよ。ここはお兄ちゃんが入っちゃいけない乙女ホテルなんだから。」
「いかがわしい表現を使うな。でもここが立入禁止だということはよくわかったよ。でもひとつだけ教えてくれ。」
「スリーサイズなら3つだけど。」
 背中の白い羽根を揺らして、シナを作る実亜里。
「そうじゃないだろ!咲良様、じゃない、黄金リコーダーはここにないんだろうな。」
「ここに置いてはいないよ。」
「そうか。ならいいよ。じゃあ、どうするかな。闇雲に街を探しても仕方ないだろうし。やっぱりアレを再確認するしかないかな。先に言っとくけど、変な意味のアレじゃないかな。」
「お兄ちゃんに先起こされちゃったよ。あんまり早いのもイヤだよ。しかも小蛇なんだから。」
「そこから離れろ!わかってると思うけど、明日は学校に行くぞ。」
「そうだね。明日は今日と同じとは限らないし。」
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