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第一章

第四部分

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「ドキドキ。心臓の音が、血流に乗って全身に響き渡っているのを感じるよ。これが自分目で見るということなんだね。ねえエンヴィル。」
「よしなさいよ。千里眼魔法って、禁断の魔法なのよ。使ったことがわかっただけでも逮捕されちゃうわよ。ウィンピアはびびりのくせに、いつも自分勝手過ぎるわ。」
「びびりは関係ないよ。エンヴィルはそんなこと言いながら、しっかり開いてるその目は何なんだよ?」
「こ、これは目にゴミを入れる用意をしてるだけだよ。めったに開かないまぶたを動かしたせいで、眼球が乾燥してきたせいだよ。ゴミが入れば、涙が出るんだからね。」
ウィンピアと呼ばれる魔法少女は、ピンクの丸い帽子にピンクのマント。白と濃いピンクのフリフリスカートに、星形のステッキという最も典型的、悪く言えば陳腐な魔法少女衣装である。
エンヴィルの方は、漆黒のマントに、黒い先折三角帽子を被っている。深紅のステッキの先端には三日月のエンブレム。全体的に黒を基調とした魔法少女というよりは魔女風の出で立ちである。
 生まれて初めて得た視覚。本来なら風景についての感想が先んじるはずだが、思春期のウィンピアはそうではなかった。
「あれが人間の男子、初めて見た。今まで想像しかできなかったけど、すごくステキ。ちょっと、いや、かなりこわいけど、一度会ってみたいよ。」
 ウィンピアはこれしかないレベルのピンポイントで男子をロックオンしていた。
「こわいって思うならやっちゃ、いけないことなのよ。」
「あなたち。授業中に、何をしているのです。」
小肥りの黒衣のオバサン教師がふたりを制した。ここは魔法界の高校の教室の中である。
「きゃああ!悪魔魔女、コワイ!うわあ~!」
ウィンピアは、自分のスカートをめくって、バーニングレッドの輝かしいパンツを世界に、こんにちは、させた。
「教師に対して何という暴言を吐くの?そして、その不埒な行為!」
「その燃えるようなパンツ、目に毒だわ、いや、クスリだわ~、わたしもほしい~!ビビビ~!」
『ズガ~ン!』
なんと、エンヴィルは目からビーム光線を発射して、教室の壁に、人間大の大穴を開けてしまった。エンヴィルは興奮すると、意図せざるして目から光魔法を出力してしまうのである。
「何か来るよ。スゴい危機が迫ってるよ。」
ウィンピアはエンヴィルにそう声をかけた。
「ウインピアの能力だわ。魔法じゃないけど。よく当たる直感ね。」
『ダダダ~!』
床を鳴かす複数の固い靴音が迫ってきた。
「「校内警察!?」」
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