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第一章

第七十部分

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バタバタと、複数の人間が不規則に動いている音だけが聞こえて、時が経過した。
『シュウウウ。』
嫌な色の煙がようやく消えた。
「「えええ~!」」
ふたつの絶叫。楼里と裕璃音のものである。
そこでは、ゆめとつかさ、緋景と鳴志司が抱き合っていた。
「カオスになるとは、まっとうな男女交際だったのだ。いや、ひと組はまっとうじゃないのだ!」
楼里は悲壮な顔つきで叫んだ。
「緋景と鳴志司は実の兄妹なのだ。それが許されるなら、もはやなんでもありなのだ。うりが、真のカオスを実現するのだ!」
楼里は飼い犬のように、つかさに抱きついて、キスした、それも著しく濃厚なヤツを。
「あわわわ。」
ゆめは激しく狼狽した。それは実の兄妹の接吻を見たからだけではない。なんと意外にも、つかさは満足そうな顔をしていたからである。

次の日、校内は異様な空気に包まれていた。
つかさと楼里、緋景と鳴志司という実の兄妹カップルの交際が公然となってしまった。同性愛のゆりは、法的にも認められる余地があるが、実の兄妹では、法律どころか、倫理的な、つまりヒトの道としての、許容範囲を超越していた。
「こんな学校は退廃的なので、吸収されて存続ということにすら値せず、完全に廃校という流れになった。結果は全員が退学になってしまった、ごきげんよう。」
以上の夢を妄想したのはゆめだった。
「もう自分でもどこからが夢なのか、わからなくなってしまった、自分の理性に、ごきげんよう。」
ゆめは魔法で、自分を煙で包んだ。そのまま、しばらく瞑想して、無我の境地に入っていった。
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