59 / 73
第一章
第五十八部分
しおりを挟む
次に、ビーエル本が図書室に置かれた。学校生活にふさわしくないものであるが、生徒会が許容したもので、学校側は反対できなかった。
最初はアクセと同じく敬遠されたが、ビーエルファンはどこの学校にもある程度存在する。少しずつ借り手が増えていった。ビーエル本にもデジタル魔法がかけられているという痕跡は見つからず、安心して借りる女子が増加した。これまでビーエルに興味なかった女子も、気軽に借りることができるということで、ビーエルとはどんなものなのかを知ることができる、と静かなブームが起きていた。
その後、ゆり関係書籍が置かれるようになり、そちらはスムーズに浸透していった。ビーエルとゆりは一見対極にあるようだが、同性愛賛美という点で一致しており、ビーエル趣味者が率先してゆり推進者に変貌するという現象が発生していた。
こうした結果、女子カップルが徐々に、いやかなり増えてきて、結構な勢力になっていた。腕を組んで校内を歩く女子カップルを見かけることは至極日常と化していた。『女子カップルにあらずんば人にあらず』、という標語が貼り出されていた。女子カップルでない女子は、少数派となり、やがて差別されるという事態に発展していた。
ある時、デート相手紹介場なるものが設置された。趣味、好みなどを申告して、そこに登録すると、自分に合ったデート相手を紹介するというもので、あぶれ女子たちが挙って集まった。結果として、校内には、女子カップルが溢れた。
生徒会室のソファーでは、裕璃音が楼里を抱き寄せていた。
「ちょっと、お姉さま、近い、近過ぎるのだ~。」
「いやよ、いやよも好きのうち~。」
楼里は小さなからだをバタバタさせているが、裕璃音の腕力にはまったくかなわず、押さえ込まれている。
「いやぁ~。」
裕璃音の魔の手は、楼里のかすかな膨らみをぐにゅぐにゅと凌辱している。
「よいではないか、よいではないか~。うりちゃんを揉むことも、三本の矢もうまくいった~。アクセ、ビーエル本、恋人紹介、実にうまくいった~。」
「お姉さま、紫水晶学園はゆり女子だらけになってしまったのだ。これで良かったのだ?」
「うりちゃん、わかってるとは思うけど、デジタル魔法は後発魔法だけど、それはアナログ魔法の欠点を修正したものだよ~。そして、ゆりという現象は、女子と男子が交際するということを変えていくもの~。つまり、デジタル魔法とゆりは旧来の観念打破という意味で同一性があるんだよ~。」
楼里は無言で、窓の外に視線をやった。
最初はアクセと同じく敬遠されたが、ビーエルファンはどこの学校にもある程度存在する。少しずつ借り手が増えていった。ビーエル本にもデジタル魔法がかけられているという痕跡は見つからず、安心して借りる女子が増加した。これまでビーエルに興味なかった女子も、気軽に借りることができるということで、ビーエルとはどんなものなのかを知ることができる、と静かなブームが起きていた。
その後、ゆり関係書籍が置かれるようになり、そちらはスムーズに浸透していった。ビーエルとゆりは一見対極にあるようだが、同性愛賛美という点で一致しており、ビーエル趣味者が率先してゆり推進者に変貌するという現象が発生していた。
こうした結果、女子カップルが徐々に、いやかなり増えてきて、結構な勢力になっていた。腕を組んで校内を歩く女子カップルを見かけることは至極日常と化していた。『女子カップルにあらずんば人にあらず』、という標語が貼り出されていた。女子カップルでない女子は、少数派となり、やがて差別されるという事態に発展していた。
ある時、デート相手紹介場なるものが設置された。趣味、好みなどを申告して、そこに登録すると、自分に合ったデート相手を紹介するというもので、あぶれ女子たちが挙って集まった。結果として、校内には、女子カップルが溢れた。
生徒会室のソファーでは、裕璃音が楼里を抱き寄せていた。
「ちょっと、お姉さま、近い、近過ぎるのだ~。」
「いやよ、いやよも好きのうち~。」
楼里は小さなからだをバタバタさせているが、裕璃音の腕力にはまったくかなわず、押さえ込まれている。
「いやぁ~。」
裕璃音の魔の手は、楼里のかすかな膨らみをぐにゅぐにゅと凌辱している。
「よいではないか、よいではないか~。うりちゃんを揉むことも、三本の矢もうまくいった~。アクセ、ビーエル本、恋人紹介、実にうまくいった~。」
「お姉さま、紫水晶学園はゆり女子だらけになってしまったのだ。これで良かったのだ?」
「うりちゃん、わかってるとは思うけど、デジタル魔法は後発魔法だけど、それはアナログ魔法の欠点を修正したものだよ~。そして、ゆりという現象は、女子と男子が交際するということを変えていくもの~。つまり、デジタル魔法とゆりは旧来の観念打破という意味で同一性があるんだよ~。」
楼里は無言で、窓の外に視線をやった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
信用してほしければそれ相応の態度を取ってください
haru.
恋愛
突然、婚約者の側に見知らぬ令嬢が居るようになった。両者共に恋愛感情はない、そのような関係ではないと言う。
「訳があって一緒に居るだけなんだ。どうか信じてほしい」
「ではその事情をお聞かせください」
「それは……ちょっと言えないんだ」
信じてと言うだけで何も話してくれない婚約者。信じたいけど、何をどう信じたらいいの。
二人の行動は更にエスカレートして周囲は彼等を秘密の関係なのではと疑い、私も婚約者を信じられなくなっていく。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる