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第一章

第五十八部分

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次に、ビーエル本が図書室に置かれた。学校生活にふさわしくないものであるが、生徒会が許容したもので、学校側は反対できなかった。
最初はアクセと同じく敬遠されたが、ビーエルファンはどこの学校にもある程度存在する。少しずつ借り手が増えていった。ビーエル本にもデジタル魔法がかけられているという痕跡は見つからず、安心して借りる女子が増加した。これまでビーエルに興味なかった女子も、気軽に借りることができるということで、ビーエルとはどんなものなのかを知ることができる、と静かなブームが起きていた。
その後、ゆり関係書籍が置かれるようになり、そちらはスムーズに浸透していった。ビーエルとゆりは一見対極にあるようだが、同性愛賛美という点で一致しており、ビーエル趣味者が率先してゆり推進者に変貌するという現象が発生していた。

こうした結果、女子カップルが徐々に、いやかなり増えてきて、結構な勢力になっていた。腕を組んで校内を歩く女子カップルを見かけることは至極日常と化していた。『女子カップルにあらずんば人にあらず』、という標語が貼り出されていた。女子カップルでない女子は、少数派となり、やがて差別されるという事態に発展していた。
ある時、デート相手紹介場なるものが設置された。趣味、好みなどを申告して、そこに登録すると、自分に合ったデート相手を紹介するというもので、あぶれ女子たちが挙って集まった。結果として、校内には、女子カップルが溢れた。

 生徒会室のソファーでは、裕璃音が楼里を抱き寄せていた。
「ちょっと、お姉さま、近い、近過ぎるのだ~。」
「いやよ、いやよも好きのうち~。」
楼里は小さなからだをバタバタさせているが、裕璃音の腕力にはまったくかなわず、押さえ込まれている。
「いやぁ~。」
裕璃音の魔の手は、楼里のかすかな膨らみをぐにゅぐにゅと凌辱している。
「よいではないか、よいではないか~。うりちゃんを揉むことも、三本の矢もうまくいった~。アクセ、ビーエル本、恋人紹介、実にうまくいった~。」
「お姉さま、紫水晶学園はゆり女子だらけになってしまったのだ。これで良かったのだ?」
「うりちゃん、わかってるとは思うけど、デジタル魔法は後発魔法だけど、それはアナログ魔法の欠点を修正したものだよ~。そして、ゆりという現象は、女子と男子が交際するということを変えていくもの~。つまり、デジタル魔法とゆりは旧来の観念打破という意味で同一性があるんだよ~。」
楼里は無言で、窓の外に視線をやった。
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