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第一章

第六部分

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「まさか、ウサギ、いやヨンリオ趣味のことか。オレがウサギで、ゆめはカメという、相反する趣味が原因なのか。ヨンリオウサギはたしかにキモイけど、そこがいいんだぞ。ゆめもウサギが嫌いながらも、いつも目を背けることで、視界から外していたじゃないか。それで十分だろう。」
(自白したな。ふたりの関係って、そんなところにヒビが入ってたのだ。)
そ、そうよ。じゃあ、さよなら。
ゆめはダッシュで、家に帰っていった。
「そ、そんなあ~!」
つかさはしばし茫然としていたが、やがて落ち着きを取り戻した。
「これは来るべき運命だったのかも。なんとなく付き合っていたのは事実だし。」
本来、大好きな恋人からいきなり別れを告げられたら、全速力で追いかけるのが当たり前である。しかし、その気力のないつかさには、真の恋人ではないということが自覚されたのである。

「あれ?つかさ、どこにいったのかしら。」
カワヤから戻ってきたホンモノのゆめは、つかさをサーチすべく周囲を見渡しているが、網にひっかかることはなかった。つかさ、デートの途中で何も言わずに消えてしまうなんて最低だわ。
ゆめは仕方なく、重い足取りで、自宅へ向かっていた。
「受験で忙しい時期なのに、時間を無駄にしたわ。・・・。無駄?あたし、無駄な時間だと思ったってこと?」
本来なら怒りで憤懣やる方のないはずの自分がいないことに気づいたゆめ。
「やっぱり、こんなことやってちゃダメなんだ。つかさとは、元のあぜ道を歩く方がいいのよね。」
ゆめは賑やかな商店街の人たちとは逆向きの風を受けていた。
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