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第三章

第二十部分

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「どこかに、三食朝寝坊のみの無労働高額バイトないかなあ。なんとなく、この近くでバイトを探しているお屋敷があったような気がするのよね。あら、このバイト、面白いかも?」
玲羅が見た電柱ポスター。
『家事手伝い募集中。超軽労働疑いなし。場所はこの先スグ。大王寺学園生徒は歓迎いたしします。』と書かれていた。
「うちの学校の生徒歓迎なんて、よさげだと、逆に怪しいわね。でも家事なら慣れてるし、軽労働とわざわざ書いてるのはさらに訝しいけど。行ってみて変だったら帰ればいいし。とりあえず、これにしてみようかしら。」
貼り紙の示す方向に進んだ玲羅は、大きな屋敷の前に立った。
「ここ?ウチの近くにこんなデカいお屋敷があったのかしら。でもなんとなく、ここに入ったことがあるような気がするわね。」
大きな鉄格子のような門のところにやってきて、インターホンを押した玲羅。
『バイトに応募されに来ましたか。ようこそ、お越しくださいました。どうぞ、お入りください。』
 若い女性の声がした。
屋敷までは百メートルは離れており、色とりどりの花壇に挟まれた道を進む玲羅。
屋敷の入口である木の扉は自動ドアのようにスーッと開いた。
「あれ、触ってもいないのに。これは内側から開けたに違いないわ。」
『いらっしゃいませ、バイト候補のお嬢様。』
 きれいに揃った多数の若い女性の声である。
調度品があまた並べられた体育館級の広大な部屋には濃紺のメイド服が二列に並んでいた。
列の道なりに移動する玲羅は大きなドアの前で止まった。
「ここは全面ガラス張りのドアだわ。それもカットがすごくて乱反射してて、中が全然見えない構造になっているハズよ。」
奥には大企業の社長が座るような大きな木製の机と椅子が置かれており、そこに玲羅の見覚えのある人物が座っていた。
「あれ?あんた、まさか大王寺学園の王子?あたしの記憶、どうかしたのかしら。デジャヴの嵐に襲われてるような気がするわ。」
玲羅は眉間に深いシワを寄せながら、口をへの字にし、加えて首を左右に捻り続けるという不可思議現象に困惑アピールをしている。
そんな玲羅に疑問解決の決定打となる人物が王子の横に現れた。黒いメイド服であることは他のメイドと同じだが、落ち着きぶりが明らかに違う。カンタンに言えばトウが立っている女性。
「あんたは、あきらかに見たことがある。それもかなり悪認定できるわ!」
「ワシをずいぶんと激しく睨みおって。ワシの顔に何かついておるか?」
トウ立ちメイドはやや怒り顔で玲羅を睨み返した。
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